寄り道ラボ

盆栽の記録

黒松

黒松の年間管理

2026年7月13日


黒松の一年は、6月の芽切りを中心に回ります。春に肥料を効かせて新芽を太く伸ばし、6月中旬から7月上旬にそれを切り、二番芽で短い葉と詰まった枝を作る。 切ったら二番芽が固まるまで肥料を止める。これが黒松の基本の形です。

芽切りは元気な木だけにします。 植え替えた年の木、弱った木、幹を太らせる途中の若木に切ると、二番芽が出ずに枝を失います。若木のあいだは切らずに伸ばして太らせ、太らせ終わってから切る段階に入ります。

松は水と日が足りないと弱ります。 終日日の当たる場所に置き、表土が乾いたら鉢底から流れるまでやる。これは一年じゅう変わりません。

作業ごとに、いつ/する・しない/どうやる、の順で書きます。水やりと施肥、病害虫も同じ形で、いつの欄が通年になるだけです。時期は関東平野部の目安です。

どんな樹か

項目
学名 Pinus thunbergii
マツ科マツ属
原産 日本(本州〜九州の海岸沿い)
2本1組(二葉松)。硬く、色が濃い
樹皮 黒褐色で厚く、亀甲状に割れる

海岸の樹なので、日照と風に強く、乾燥に耐えます。樹勢が強く、切っても芽を出す力があるので、松のなかでいちばん手を入れて作れます。同じ二葉松の赤松は葉が細く柔らかく、樹皮が赤い。黒松のほうが荒く、力強い姿になります。

一年の流れ

作業 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
水やり
施肥
芽摘み
芽切り
芽かき
古葉取り
針金かけ
剪定(太枝)
植え替え

記号:◎ 最適期/○ 適期/△ 控えめ/✕ やると害になる/─ 対象外

施肥が6月で切れて8月まで空くのは、芽切りのためです。芽切りをしない木(若木、弱った木)は、6月以降も控えめに続けます。

作業

植え替え

  • いつ 3月中旬から4月中旬。冬芽がふくらみ、動き出す直前。若木は1〜2年に一度、できあがった木は2〜3年に一度。
  • する・しない 芽が伸び始めてからは遅い。真夏と真冬はしない。弱っている木は見送り、その年は肥料と水で回復させる。植え替えた年は芽切りをしない。
  • どうやる 根鉢を外から1/3ほどほぐし、古い根と太い根を整理して細根を残す。用土は赤玉土主体に砂を混ぜて水はけを効かせる。植え替え後は2週間ほど風と直射を避け、肥料は新芽が動いてから。

芽摘み(ミドリ摘み)

  • いつ 4月から5月上旬。新芽(ミドリ)が鱗片に包まれたまま伸びている頃。
  • する・しない 節間を詰めたい枝、勢いを揃えたい木にする。その年に芽切りをする木にはしない。 摘んだミドリを6月に切れば二重に力を削る。弱い枝は摘まず伸ばす。
  • どうやる 伸びかけのミドリを指で折る。強い芽は深く、弱い芽は浅く。ハサミは使わない(葉になる部分を傷める)。

芽切り

  • いつ 6月中旬から7月上旬。ミドリが伸びきり、新しい葉が開き始めた頃。大きく作る木は早く、小さく作る木は遅く。
  • する・しない 春の新芽が太く勢いよく伸びた木だけ。植え替えた年、弱った木、春に芽摘みをした木、太らせる途中の若木にはしない。年数ではなく、その年の新芽の太さで決める。
  • どうやる ミドリを前年の葉の際で、ハサミを水平に入れて切る。古葉を傷めない。弱い枝は数mm残す。枝の勢いに差があれば、弱い枝を先に切り、強い枝は1〜2週間あとに切る。切ったら二番芽が固まるまで肥料を止める。
  • 詳しくは 黒松の芽切り(芽摘み・芽かきとの違い、切り方、二番芽が出ないとき)。

芽かき

  • いつ 8月から秋。二番芽が出そろってから。
  • する・しない 同じ場所から3本以上出たら減らす。芽切りをしていない木でも、車枝になった芽は減らす。
  • どうやる 左右に開いた同じ強さの2本をV字に残し、真ん中と上下、飛び抜けて強い芽を元からかき取る。

古葉取り

  • いつ 11月から12月。
  • する・しない 毎年する。古葉を残すと内側が蒸れ、懐の芽が動かない。抜きすぎない。芽切りをした木は二番芽の葉を残し、前年の葉を抜く。
  • どうやる 枯れた葉、前年の葉、混み合った葉をピンセットか指で抜き、枝先に葉を残して内側に日と風を通す。強い枝は多く抜き、弱い枝は残して、勢いを揃える。

針金かけ

  • いつ 10月から2月。太枝の曲付けは休眠期の12月から2月。
  • する・しない 芽が動く春から夏は避ける。樹皮が厚いので跡は目立ちにくいが、食い込めば傷になる。
  • どうやる 枝の太さの1/3ほどの番手を45度で巻く。かけたら半年で点検し、食い込む前に外す。太枝はラフィアを巻いてから。

剪定(太枝・不要枝)

  • いつ 休眠期の12月から2月。
  • する・しない 生育期に太枝を切らない。切り口が乾いて枯れ込む。春は芽摘みまで。
  • どうやる 輪郭から飛び出す枝、重なり枝、内側を向く忌み枝、車枝を元から抜く。太い切り口には保護剤を塗る。

水やり

  • いつ 通年。春秋は1日1回、真夏は朝夕2回、冬は乾き具合を見て3〜5日に1回。
  • する・しない 表土が乾いてから。乾かし気味でよいが、鉢の中まで乾かさない。葉を短く作る木に夕方の葉水はしない(葉が長くなる)。
  • どうやる 鉢底から流れ出るまで。置き場所は終日日の当たる、風の通る棚の上。日照が足りないと葉が伸び、内側から枯れ込む。

施肥

  • いつ 3月から芽切りまで。二番芽の葉が固まる8月下旬から10月。11月以降はしない。
  • する・しない 芽切りをしたら止め、二番芽が固まるまで再開しない。芽切りをしない木は真夏を控えめにして続ける。太らせたい若木は春から秋まで多めに。
  • どうやる 有機性の置肥を月に1回取り替える。

病害虫

  • いつ 春から秋。マツ材線虫病(松枯れ)を運ぶマツノマダラカミキリは6月から9月に飛ぶ。
  • する・しない 松枯れは罹ると夏に葉が一気に褐変して数週間で枯れ、治す手が無い。幹に穴と木くずがあれば疑い、他の木から離す。近くに枯れた松があれば特に見る。
  • どうやる アブラムシ、カイガラムシ、マツカレハの幼虫は見つけ次第、手で取るか薬剤で。

作業別のページ

  • 黒松の芽切り(6月の切り方、時間差の付け方、二番芽が出ないときの見方)
  • 黒松の実生(種から素材を作る。軸切り挿し芽と、年ごとの手入れ)

関連ページ

この樹でやった記録