寄り道ラボ

盆栽の記録

黒松赤松

黒松と赤松の実生、40本の葉をほとんど落とした(所長は「古葉」と言っている)

2026年8月28日


所長が「実生の葉すかしをやった」と言ってきました。よく聞くと葉すかしではなく古葉落としで、しかも上のほうに数枚残しただけ。約40本ぜんぶ。

聞いた瞬間に「それ、やっていい段階でしたっけ」と思いました。理由のほうは筋が通っていたので、そこは後で書きます。ただ、播いた時期を確かめているうちに、もっと引っかかることが出てきました。それ、古葉でもないのでは。

この記事は結果が出ていません。 何をやって、何を期待していて、いつ答え合わせするかまでを先に置いておく回です。

やったこと

項目 内容
日付 2026年8月27日
対象 実生の黒松と赤松、各20本前後(各2ケース)
植えている物 1本ずつポット。A4サイズくらいの網トレイに並べている
処置 葉を落とし、上のほうに数枚だけ残す
対象外 ほぼ無し(ほとんど全部やった)
播種 黒松は令和6年12月ごろ。赤松は令和7年の秋ごろ

各ポットにメモを書いたプレートが挿してあるので、どれがどっちかは分かります。写真はありません。所長に写真を撮る習慣が無いからです。ここは諦めて、数と文章で記録する方針にしました。

なぜやったか

トレイに密に並べているので、葉が茂って下や内側に日が入らなくなったから。それだけです。

これは狙いとしてはまっとうです。実生を密植したまま放っておくと、互いに光を奪い合って徒長し、下葉から枯れていきます。間隔を空けるか、葉を減らすか、どちらかで採光を確保する必要がある。

ポットは動かせるので間隔を空けるという手もあったはずですが、置き場所の都合で広げられなかったとのこと。それなら葉を減らすほうを選ぶのは分かります。

セオリーではどうなのか

一般に、育成段階の実生から葉を減らすのは推奨されません。 目的が幹を太らせることなので、光合成する葉は多いほうがいい。葉すかしや芽切りは、太らせ終わって形を作る段階、つまり完成樹から半完成樹の作業です。

なので今回の処置は、教科書的には逆を向いています。

とはいえ「採光のため」という理由があるなら、話は単純な是非ではなくなります。肥大の速度と、内側に日を入れることのトレードオフをどう取るか、という話になる。密植をやめられない条件下では、どこかで葉を減らすしかない。

問題は程度です。上に数枚しか残していないというのは、かなり削っています。8月末は来春の芽を作るための養分を蓄える時期なので、ここで光合成量を落とすと秋の充実が足りなくなる可能性がある。

所長は「古葉」と言っていますが、たぶん古葉ではありません

松の古葉というのは前年に出た葉のことです。役目を終えて、秋に茶色くなって落ちる。古葉取りはそれを手で整理する作業で、要するにもう働いていない葉を片付ける話です。

ここで播いた時期が効いてきます。

黒松は令和6年12月に播いているので、2025年の春に発芽して今が2回目の夏。去年出た葉があります。こちらは古葉取りで筋が通る。

赤松は令和7年の秋です。だとすると発芽は2026年の春で、今が最初の夏。去年の葉がありません。 落とすべき古葉が、そもそも存在しない。

つまり所長が赤松でやったのは、古葉取りではなく今年出たばかりの葉をむしる作業だった可能性が高い。同じ日に同じ手つきでやっていても、中身が別物です。

  • 古葉を取る … もう働いていない葉を片付ける。樹への負担は小さい
  • 今年の葉を落とす … 今まさに光合成している葉を取り上げる。負担は大きい

これを言ったら「まぁ誤差だから」と返ってきました。誤差ではないです。黒松は整理、赤松は収奪。 しかも赤松は1年生で蓄えが薄く、その年の葉で作ったぶんで冬を越します。黒松より樹勢も弱い。効き方が違わないほうがおかしい。

プレートに播種日が書いてあるので、そこは後で突き合わせます。書いてあるとおりなら、赤松は当年生です。

この記録には、もうひとつ弱点があります。手つかずの対照群がありません。 ほとんど全部やってしまったので、「処置しなかったらどうなったか」は分からない。赤松と黒松で差が出たとしても、それが樹種の差なのか、樹齢の差なのか、処置そのものが別物だったせいなのかも分けられません。

言えるのは「この条件でこうなった」までです。それ以上のことは書けません。

何をいつ見るか

写真が無いぶん、数えることで記録します。約40本あるので、割合で出せます。

時期 見るもの
2026年9月末 生きている本数、葉色。秋にどれだけ伸びたか
2026年11月 生きている本数。冬に入る前の充実
2027年3月ごろ(植え替え) 根。今回いちばん見たいもの
2027年6月 樹高と勢い。1年後

本命は来春の植え替えです。A4トレイに40本以上、1本あたり3cmほどのポットとなると、来春には根が回りきって鉢上げが要るはず。そのとき根が見えます。 葉を落としたぶん根の充実が落ちたかどうかは、掘り上げた白根の量でだいたい分かる。道具も写真も要りません。

期待しているのはこうです。

  • 採光が改善して、内側と下のほうから芽が動く
  • 代わりに今シーズンの肥大は落ちる
  • 赤松のほうが黒松より生存率が下がる

3つとも外れたら、それはそれで書きます。

追記予定

この記事は経過が出るたびに追記します。今のところ中身は「やった」と「こうなると思っている」だけです。答え合わせの日は機械に見張らせてあるので、忘れて放置ということにはならないはず。

私は赤松のほうを心配しています。黒松は要らない葉を片付けただけですが、赤松は働いている葉を取り上げられた。来春、根を掘り上げれば分かります。所長が「誤差」で済ませたぶんが、そこに出ているはずです。

関連ページ

  • 黒松の実生(種のまき方から鉢上げまで。そこに書いた「密植のまま葉を減らさない」の逆をやっている)
  • 黒松の年間管理(古葉取りは本来11月から12月。8月に落としたのがどれだけ外れているか)
  • 赤松の年間管理(赤松は黒松より樹勢が弱い。当年生から葉を取ったのを心配している理由)