寄り道ラボ

盆栽の記録

赤松

赤松の年間管理

2026年7月13日


赤松は黒松と同じ二葉松ですが、黒松より弱く、黒松より繊細です。 黒松の感覚で水と肥料を効かせると葉が伸び、根が傷みます。黒松の感覚で芽切りをすると二番芽が出ずに枝を失います。

赤松の一年は、春の芽摘みが主役です。芽切りは、樹勢が乗った木に、黒松より1〜2週間早く、控えめにやります。芽切りをせず芽摘みだけで作る流儀もあります。

乾かし気味、肥料は黒松の半分。 尾根や痩せ地に自生する樹なので、過湿と肥料過多で持ち味を失います。細くしなやかな葉と赤い幹肌が赤松の見どころで、太らせる方向に振るとそれが消えます。

作業ごとに、いつ/する・しない/どうやる、の順で書きます。水やりと施肥、病害虫も同じ形で、いつの欄が通年になるだけです。時期は関東平野部の目安です。

どんな樹か

項目
学名 Pinus densiflora
マツ科マツ属
原産 日本(本州〜九州の内陸、尾根筋、痩せ地)
2本1組(二葉松)。細く柔らかく、明るい緑
樹皮 赤褐色で、薄く鱗状にはがれる

黒松を男松、赤松を女松と呼びます。葉に触れば分かります。黒松は硬くて刺さり、赤松は柔らかい。幹肌は離れて見ても違い、黒松は黒く厚く割れ、赤松は赤く薄くはがれます。

一年の流れ

作業 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
水やり
施肥
芽摘み
芽切り
芽かき
古葉取り
針金かけ
剪定(太枝)
植え替え

記号:◎ 最適期/○ 適期/△ 控えめ/✕ やると害になる/─ 対象外

黒松の表と比べると、施肥と水やりが全体に薄く、芽切りが◎ではなく○です。

作業

植え替え

  • いつ 3月中旬から4月中旬、冬芽が動く直前。3〜4年に一度。
  • する・しない 黒松(2〜3年)より間隔を空ける。根をいじられると勢いが戻るのに時間がかかる。弱っている木は見送る。植え替えた年は芽切りをしない。
  • どうやる 根鉢を外から1/4ほどほぐすだけにとどめ、細根を残す。用土は赤玉土に砂を黒松より多めに混ぜ、水はけを強くする。植え替え後は2週間ほど明るい日陰で養生する。

芽摘み(ミドリ摘み)

  • いつ 4月から5月中旬。ミドリが伸びている途中。
  • する・しない 赤松の作りはここで決まる。節間を詰め、枝の勢いを揃える仕事を、この一回で済ませる。芽切りをする木は、その年は摘まない。弱い芽は摘まず伸ばす。
  • どうやる 伸びかけのミドリを指で折る。強い芽は深く(半分ほど)、弱い芽は浅く。全部同じ長さに摘むと、強い枝がますます強くなる。

芽切り

  • いつ 6月上旬から中旬。黒松より1〜2週間早い。 赤松は二番芽の伸びが遅く、遅く切ると冬までに固まらない。
  • する・しない 春の新芽が太く伸びた、樹勢の乗った木だけ。若木、弱った木、植え替えた年の木にはしない。迷うならしない。芽摘みだけで作れる。
  • どうやる ミドリを前年の葉の際で、ハサミを水平に入れて切る。古葉を傷めない。弱い枝は数mm残すか、切らずに残す。切ったら二番芽が固まるまで肥料を止める。二番芽の出が悪かった枝は、翌年は切らずに休ませる。切り方は黒松の芽切りと同じ。

芽かき

  • いつ 8月から秋。二番芽が出そろってから。
  • する・しない 同じ場所から3本以上出たら減らす。赤松は残しすぎると全部が細く弱くなる。
  • どうやる 左右に開いた同じ強さの2本をV字に残し、真ん中と余分を元からかき取る。

古葉取り

  • いつ 11月から12月。
  • する・しない 黒松より控えめに。もともと葉が細く葉量が少ないので、同じ割合で抜くと光合成が足りなくなる。
  • どうやる 枯れ葉と混み合った前年の葉だけを抜く。枝先の葉は黒松より多めに残す。

針金かけ

  • いつ 10月から2月。太枝の曲付けは休眠期。
  • する・しない 生育期は避ける。樹皮が薄く、食い込みが早く、跡が残る。 黒松の感覚で放置しない。
  • どうやる 枝の太さの1/3ほどの番手を45度で巻く。アルミ線か細めの銅線。かけたら3〜4か月で点検し、当たり始めたら外すか巻き直す。太枝はラフィアを巻いてから。

剪定(太枝・不要枝)

  • いつ 休眠期の12月から2月。
  • する・しない 生育期に太枝を切らない。赤松は切り口が枯れ込みやすく、そこから枝を失う。一度に何本も抜かない。
  • どうやる 輪郭から飛び出す枝、重なり枝、忌み枝を元から抜く。切り口には必ず保護剤を塗る。黒松なら省けることがあるが、赤松では塗る。

水やり

  • いつ 通年。春秋は1日1回、真夏は朝夕2回、冬は4〜7日に1回。
  • する・しない 黒松より乾かし気味に。過湿にすると根が傷み、葉が黄ばむ。半日陰に置くと葉が伸びて赤松らしさが消える。
  • どうやる 表土が乾いてから、鉢底から流れ出るまで。用土の水はけで調整する。置き場所は終日日の当たる、風の通る棚の上。

施肥

  • いつ 4月から6月上旬、芽切りをしたら止めて、二番芽が固まる9月から10月。
  • する・しない 黒松の半分。 効かせすぎると葉が長くなり、幹肌の赤も鈍る。若木を太らせる段階でも黒松ほどは効かせない。
  • どうやる 有機性の置肥を軽く。5月は続けて6月に減らす。

病害虫

  • いつ 春から秋。松枯れを運ぶマツノマダラカミキリは6月から9月に飛ぶ。
  • する・しない 赤松は松枯れにいちばん罹りやすい松。 罹ると夏に葉が一気に褐変して数週間で枯れ、治す手が無い。幹に穴と木くずがあれば疑い、他の木から離す。
  • どうやる アブラムシ、ハダニ、カイガラムシは見つけ次第。夏の乾燥でハダニが出やすく、葉色がくすむ。

作業別のページ

  • 黒松の芽切り(切り方と二番芽の見方は赤松も同じ。赤松は1〜2週間早く、弱い枝は切らずに残す)
  • 黒松の実生(種のまき方と軸切り挿し芽は赤松も同じ手順)

関連ページ

この樹でやった記録