五葉松の年間管理
2026年7月13日
五葉松は芽切りをしません。 黒松と同じつもりで6月に新芽を切ると、二番芽が出ずにその枝が枯れます。節間を詰める仕事は4月から5月の芽摘みだけで済ませ、あとは10月から12月のもみあげで内側に日を入れます。
接ぎ木の木は、台木の芽を取ります。 流通している五葉松の多くは黒松を台木にして接いであります。接ぎ口より下から二葉の芽が出たら、見つけ次第かき取る。放っておくと台木が勢いを持ち、上の五葉松が負けます。
乾かし気味、肥料は控えめ。 高地の樹で、過湿に弱く、成長が遅い。肥料を効かせすぎると葉が伸びて、短く細かい葉性が消えます。
作業ごとに、いつ/する・しない/どうやる、の順で書きます。水やりと施肥、病害虫も同じ形で、いつの欄が通年になるだけです。時期は関東平野部の目安です。
どんな樹か
| 項目 | |
|---|---|
| 学名 | Pinus parviflora |
| 科 | マツ科マツ属 |
| 原産 | 日本(本州〜四国・九州の山地) |
| 葉 | 5本1組(五葉松)。短く細く、青みや白みを帯びる |
| 樹皮 | 灰褐色。老木で薄く割れる |
葉を数えれば黒松・赤松と見分けがつきます。成長が遅いぶん枝が細かく作れ、松柏のなかで格の高い樹とされます。産地系統で葉性が違い、那須、吾妻、瑞祥などの名で流通します。手元の木の系統で、葉の長さと肥料の効かせ方が変わります。
接ぎ木のこと
五葉松は自根だと成長が遅すぎるので、黒松の台木に五葉松を接いだ木が多く流通しています。幹の下のほうに、太さや樹皮が急に変わる所があれば、そこが接ぎ口です。
台木の黒松は生きているので、自分の芽を出します。二葉の芽が接ぎ口より下から出たら、それは黒松です。取らずに枝にすると、黒松のほうが強いので五葉松が弱り、切り口も残ります。
一年の流れ
| 作業 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水やり | △ | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ | △ |
| 施肥 | ─ | ─ | ○ | ◎ | ○ | △ | ─ | ─ | ○ | ○ | ─ | ─ |
| 芽摘み | ─ | ─ | ─ | ◎ | ◎ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| 雄花取り | ─ | ─ | ─ | ◎ | ○ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
| 芽切り | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
| 台木の芽かき | ─ | ─ | ─ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ─ | ─ | ─ |
| もみあげ(古葉取り) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ○ | ◎ | ◎ |
| 針金かけ | ○ | ○ | △ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | △ | ◎ | ◎ | ○ |
| 剪定(太枝) | ◎ | ◎ | ○ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | △ | ○ | ◎ |
| 植え替え | ✕ | ✕ | ◎ | ○ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
記号:◎ 最適期/○ 適期/△ 控えめ/✕ やると害になる/─ 対象外
芽切りの行が一年じゅう✕なのは、書き間違いではありません。
作業
植え替え
- いつ 3月中旬から4月中旬、冬芽が動く直前。3〜5年に一度。
- する・しない 黒松より間隔を空ける。成長が遅く根も回るのが遅いので、頻繁にやると勢いを削るだけ。弱っている木は見送る。
- どうやる 根鉢を外から1/4ほどほぐし、古い根を軽く整理する。用土は赤玉土に桐生砂や富士砂を黒松より多めに混ぜ、水はけを強くする。植え替え後は2〜3週間、明るい日陰で養生する。
芽摘み(ミドリ摘み)
- いつ 4月から5月中旬。ミドリが伸びている途中。
- する・しない 五葉松の作りはここで決まる。芽切りができないので、この一回に集中する。弱い枝の芽は摘まず伸ばす。
- どうやる 伸びかけのミドリを指で、1/2から1/3ほど折る。ハサミは使わない。切った断面が茶色く残り、枯れ込むことがある。強い芽は深く、弱い芽は浅く。1か所から出た芽が多ければ、このときに2本に減らす。
雄花取り
- いつ 4月から5月、ミドリの根元に雄花が固まって付いた頃。
- する・しない 五葉松は雄花が多く付き、放っておくとそこに養分を取られて芽が弱る。付いた枝から取る。
- どうやる ミドリの根元の雄花を指でしごき落とす。芽摘みと同じ日にやる。
台木の芽かき
- いつ 4月から9月、見つけ次第。
- する・しない 接ぎ木の木では毎年の仕事。自根の木には無い。
- どうやる 接ぎ口より下から出た二葉の芽を、指で元から押し取る。枝になってからでは切り口が残る。
もみあげ(古葉取り)
- いつ 10月から12月。
- する・しない 毎年する。古葉を残すと内側が蒸れて懐の芽が動かず、枝先だけの姿になる。取りすぎると翌春の勢いが落ちる。
- どうやる 枝を手のひらで軽く揉み、前年以前の古葉を落とす。指で1本ずつ抜いてもよい。当年の葉には触らない。 落ちた葉を鉢土の上に残さない。
針金かけ
- いつ 10月から2月。太枝の曲付けは休眠期。
- する・しない 生育期は避ける。成長が遅いので食い込みも遅く、そのぶん外し忘れやすい。
- どうやる 枝の太さの1/3ほどの番手を45度で巻く。半年に一度は点検し、当たり始めたら外す。1年放置すると、気づいたときには食い込んでいる。
剪定(太枝・不要枝)
- いつ 休眠期の12月から2月。
- する・しない 生育期に太枝を切らない。切り口が塞がるのに時間がかかる。一度に何本も抜かない。 成長が遅いので、樹形を戻すのに何年もかかる。
- どうやる 輪郭から飛び出す枝、重なり枝、忌み枝を元から抜く。切り口には保護剤を塗る。
水やり
- いつ 通年。春秋は1日1回、真夏は朝夕2回、冬は4〜7日に1回。
- する・しない 黒松より乾かし気味に、赤松と同じ感覚で。過湿にすると根が傷み、葉が黄ばんで落ちる。真夏の西日で葉が焼けることがあるので、午後だけ日射を和らげる。
- どうやる 表土が乾いてから、鉢底から流れ出るまで。置き場所は終日日の当たる、風の通る棚の上。年間を通して日照が足りないと葉が伸びる。
施肥
- いつ 4月から6月上旬と、9月から10月。真夏はしない。
- する・しない 黒松より控えめ。 効かせすぎると葉が長くなる。葉を短く作りたいなら肥料を減らすのがいちばん確実で、芽切りという手が無いぶん、ここで効かせる。
- どうやる 有機性の置肥を軽く。5月は続けて6月に減らす。
病害虫
- いつ 春から秋。ハダニは夏の乾燥期。
- する・しない 葉が密で内側が蒸れると病気が出やすい。もみあげと剪定で風を通すのがいちばん効く。松枯れは黒松・赤松ほど罹らないが、幹に穴と木くずがあれば同じように疑う。
- どうやる アブラムシ、ハダニ、カイガラムシは見つけ次第。ハダニは葉水で予防する。
作業別のページ
- 盆栽の土が固くて水を吸わないとき(植え替えの時期が合わないときの応急処置。樹種共通)
関連ページ
- 黒松の年間管理(芽切りをする松の一年。五葉松との違いはここを並べて読むといちばん分かる)
- 黒松の芽切り(五葉松にこれをやると枝を失う。なぜ黒松では成り立つのか)
- 9月の盆栽の作業(接ぎ口より下から出る芽、もみあげの準備)