メタ・プラットフォームズ(META)の2026年第3四半期決算を一次ソースで読む。売上646億ドルの裏で、議決権の無いクラスC株が生まれた理由

次の決算は2027年1月27日ごろの見込みです(推定。前年の同じ時期から)。過去の発表日は2026年10月21日、7月29日、4月29日、1月28日。決算日の一覧


順番で来た銘柄です。グロース・オポチュニティの組入7位、4.5%。所長はこの銘柄について何も言っていません。

書く日を決めてから調べたら、前日の10月21日に第3四半期の決算が出ていました。同じ日に「議決権の無いクラスC株を作る」という発表も出ています。

使うのは、10月21日の決算のプレスリリースと同じ8-Kの本文、同じ日に出た株主向けの情報説明書(PRE 14C。クラスC株の経緯が書いてある)、7月29日の第2四半期のプレスリリース、SECのXBRLデータです。決算説明会は会社の書き起こしがまだ無いので、公開の音声を機械で書き起こしたものを補助に使い、引く所はその旨を書きます。

どんな会社か

広告の会社です。Facebook、Instagram、WhatsApp、Messenger、Threads を無料で使わせ、そこに出す広告で稼ぎます。第3四半期の売上646億ドルの内訳です。

  • Family of Apps(アプリ群): 641.6億ドル。うち広告が630.6億ドル、前年比+26%。残り11.0億ドルが「その他」で、WhatsAppの企業向け有料メッセージと定額課金。小さいが前年比+59%
  • Reality Labs(VR・ARとスマートグラス): 4.4億ドル、前年比-6%。営業損失41.3億ドル。売上の0.7%の事業が、四半期に41億ドル使う

アプリ群のどれかを1日に使う人(DAP)は9月平均で36.4億人、前年比+3%。人数はもう伸びず、広告の表示回数(+10%)と広告1本の単価(+14%)で売上を伸ばしています。

メタ・プラットフォームズ 売上の構成(2026年第3四半期)広告631億ドルその他(WhatsAppの有料メッセージ等)11億ドルリアリティ・ラボ4億ドル出所: 決算プレスリリース

直近の決算の数字

2026年第3四半期(7〜9月)です。

  • 売上: 646.0億ドル、前年比+26%。stockanalysis.com の予想633.7億ドルを2%上回り、会社が7月に出した予想610〜640億ドルの上限も超えた
  • 費用: 516.1億ドル、前年比+68%。うち98.9億ドルは8月に52州の司法長官と結んだ和解(未成年のメンタルヘルスをめぐる訴訟、支払いは最大185.9億ドル)の計上
  • 営業利益: 129.9億ドル、前年比-37%。営業利益率20%、前年は40%。和解の分を除くと228.8億ドル(+11%)、利益率35%
  • EPS(希薄化後): 3.83ドル、和解の分を除くと7.40ドル。stockanalysis.com の予想6.76ドルは除外後と同じ基準とみられ、それより9%上。Nasdaq に載る Zacks の集計は4.98ドルで、最高6.77〜最低2.61とばらつきが大きい。和解を織り込んだ人とそうでない人が混ざっています
  • 設備投資: 349.1億ドル。前年同期は194億ドル。営業キャッシュフロー327.9億ドルより多く使い、フリーキャッシュフローは21.2億ドルの赤字
  • 現金と有価証券: 824.5億ドル。長期の借入は809.2億ドルで、9か月で249億ドルの社債を出した。自社株買いは2026年はゼロ(前年の同じ9か月は262億ドル)
  • 従業員: 66,775人、前年比-15%
メタ・プラットフォームズ 四半期の売上と営業利益率2024年第4四半期から2026年第3四半期まで。第3四半期の営業利益率は和解の98.9億ドルを含む03006009001,2001,500億ドル48424Q442325Q147525Q251225Q359925Q456326Q160826Q264626Q348.3%41.5%43%40.1%41.3%40.6%30.9%20.1%6%34.5%63%売上営業利益率出所: SECのXBRLデータ、決算プレスリリース

第4四半期の会社予想

  • 売上: 730〜760億ドル。前年の599億ドルから+22〜27%
  • 2026年通年の費用: 1,750〜1,790億ドル。和解の分を乗せて上げた。2025年は1,177億ドル
  • 2026年の設備投資: 1,350〜1,450億ドル。7月の1,300〜1,450億ドルから下限を上げた
  • Reality Labs の損失: 2026年は180〜190億ドル、2027年は「150億ドル前後に縮める」
  • 2027年: 売上の予想は出さない。設備投資は「予算と設備の計画をまだ作っている」が「引き続き積極的に投資する」

クラスC株は、何のために作るのか

2027年1月19日に議決権の無いクラスC株を新設し、既存の株1株に対しクラスC株1株を配ります。会社は「2対1の株式分割と同じ効果を株価に見込む」と書いています。議決権の比率は誰も変わりません。

なぜ作るのかは、情報説明書の方がはっきり書いてあります。

  • 特別委員会は「AIの競争に要る投資の規模は前例が無く」、クラスC株で株式による資金調達をできるようにしたかった。経営陣は2026年末までに使える状態にしたいと伝えていた
  • 普通のクラスA株を出す案は検討したが、ザッカーバーグCEOは「自分の議決権を減らすような大規模な株式調達は支持しない」と交渉の中で明言した
  • 借入は「経営陣が考えている規模だと格付けに悪影響が出る」ので退けた
  • 議決権が無い株なら、米国の対内投資規制の関係で「政府系の金融機関」にも売れる
  • アルファベット、SpaceX、Anthropic、OpenAI が大きな調達をして環境は厳しくなっている。アルファベットは約800億ドルの増資を発表したと、助言会社のモエリスが委員会に説明した

設備投資が稼ぐ現金を超え、自社株買いを止め、社債を出した先に、「次は株を出す」と言っているのと同じです。説明会でCFOは「今の時点で発表する具体的な調達の計画は無い」と答えています(機械の書き起こしから)。計画は無いが、道具は作った。

ザッカーバーグCEOが受け取るもの、縛られるもの

CEOは、チャン・ザッカーバーグ系の持株会社を通じてクラスB株3億1,583万株を持ち、議決権の56.1%を握っています。発行済みはクラスA株22億1,447万株とクラスB株3億4,177万株なので、株数では1割強です。B株は1株10票です。

CEOにもクラスC株が同じ比率で配られ、その扱いが「創業者整合契約」で決まっています。

  • 受け取ったクラスC株の20%はすぐ売ってよい。8月の助言会社の試算では約200億ドルの「即時の流動性」
  • 残り80%は、売るたびにクラスA株かB株を同じ数だけ売るか、B株をA株に転換しなければならない。現金に換えながら議決権だけ残す、ということをさせない条件
  • ただし、CEOが経営陣か執行会長として常勤で在籍する四半期ごとに、配られた株の2.5%ずつが条件から外れる。32四半期、8年で全部外れる
  • CEOは8年間、カリフォルニア州(か本社の所在地)に住み続けることも約束した
  • クラスC株の30日平均の株価が、9月10日時点の基準580.60ドルの2倍、4倍、8倍に達し、かつ年率10%以上のリターンが出ていれば、全株主にもう1回クラスC株を1対1で配る

200億ドルの理由も書いてあります。11月3日の投票にかかるカリフォルニア州の住民提案40、いわゆる「カリフォルニア富裕税」です。通ればCEOに「数十億ドル規模の税」がかかる可能性があり、払うための現金が要ると委員会に伝えています。8年住む約束と、税金を払うための200億ドルが、同じ契約に入っています。

委員会は最初、クラスB株の議決権に期限(サンセット条項)を付ける案を出しました。CEOは「議決権を失う可能性のある案やサンセット条項は支持しない」と断り、代わりに上の売却条件を受け入れています。委員会はこれを「これまで存在しなかった整合の仕組み」と呼んでいますが、CEOが手放したものは少ないです。

Muse と、計算資源

決算の見出しは「Muse と Muse Wonder、当社初のフロンティアモデルを出した」です。プレスリリースにはそれ以上の説明が無く、機械の書き起こしによると、CEOは「米国とカナダで1,000万人以上が Muse の個人エージェントを設定した」「動かすのに計算資源を大量に使うので、まだ世界で出していない」「来年中に費用対効果を10倍以上よくする」と言っています。設備投資の中身(どの拠点に何メガワットか)は、今回読んだ資料に書いてありません。

気になっていること

和解の185.9億ドルは、今期の98.9億ドルで終わりではありません。CFOの見通しに「若年層をめぐる裁判が、この数か月で米国で複数予定されている」とあります。費用の予想1,750〜1,790億ドルが次の裁判の分を含むのかは、資料からは読めません。

もう一つ。情報説明書は、クラスC株の目的に「従業員への株式報酬」も挙げています。第3四半期の株式報酬は73.6億ドルで、従業員が15%減ってもこの額です。議決権の無い株を社員に配れば、CEOの議決権は薄まらず、既存の株主の持ち分だけが薄まります。会社自身もリスクの項で「クラスC株がクラスA株より安く取引されれば、同じ金額を集めるのに多くの株を出すことになり、かえって希薄化が大きくなる」と書いています。

株価は10月21日の終値で697.52ドルです。7月30日に第2四半期の決算で585.61ドルから539.03ドルへ8%下げ、9月24日に777.59ドルまで戻し、そこから10%下げた所で今回の決算が出ました。

次の決算で見る所

次は第4四半期と通期の決算です。前年は1月28日に出ているので来年1月末ごろだと思いますが、日付はまだ出ていません。

  • 2027年の設備投資。今回は数字を出さなかった。2026年の1,350〜1,450億ドルに対していくつと言うか
  • クラスC株の上場と、最初の株式調達。1月末に取引開始の予定。その後に増資や政府系の出資が出てくるか
  • 和解の残り。185.9億ドルのうち98.9億ドルを計上済み。残りがいつ乗るか、次の裁判で追加があるか
  • 広告の単価。第3四半期は単価+14%、表示回数+10%。第2四半期は単価+12%、表示回数+14%で逆だった

結果は別の記事で書きます。

使った資料

組入比率は投資信託のデータと同じ2026年8月31日の月次レポートです。株価は書いた日のものです。

会社が「計画は無い」と言いながら道具を先に作る時は、計画がある時です。