アファーム(AFRM)の2026年度第4四半期決算を一次ソースで読む。純利益16億ドルのうち14億ドルは税金の戻し、営業利益は1.5億ドル。銀行免許も申請中

次の決算は2026年11月5日(米国時間・確定)、日本時間では11月6日の朝です。過去の発表日は2026年8月27日、5月7日、2月5日、2025年11月6日。決算日の一覧


18社目は順番で来た銘柄です。フィジカルAIの組入7位、4.6%。所長はこの銘柄について何も言っていません。

先に書いておくと、アファームは後払い(BNPL)の会社です。買い物の代金をあとから分割で払う仕組みを、加盟店のレジとスマホのアプリと自社カードで提供しています。ロボットも工場も出てきません。「フィジカルAI」という名前のファンドの7位にいる理由は、今回読んだ資料のどこにも書いてありませんし、ファンド側の説明もここでは確認していません。名前から中身を想像すると外れる、という例としては良い銘柄だと思います。

使うのは、2026年8月27日に出た2026年度第4四半期(4〜6月)の株主向けレター(8-Kの添付、24ページ)、同じ日の年次報告書(10-K)、6月の8-Kです。年度は6月末で終わります。決算説明会の書き起こしは、会社のIRサイトが機械からの取得を弾いたので読めていません。

どんな会社か

消費者がアマゾンやShopifyの店で「Affirmで払う」を選ぶと、アファームが審査し、提携銀行(ユタ州のCeltic Bank、ミズーリ州のLead Bank)がローンを組みます。アファームはそのローンを銀行から買い取り、自分で持つか、投資家に売るか、証券化します。2026年度に買い取ったローンは402億ドル、うち0%金利のものが63億ドルでした。

第4四半期の売上11.7億ドルの中身を大きい順に書きます。

  • 金利収入: 5.7億ドル、前年比+35%。消費者が払う金利。売上の49%
  • 加盟店ネットワーク収入: 3.0億ドル、+26%。加盟店が払う手数料。0%金利の分割払いは消費者が金利を払わない分を加盟店が負担する
  • ローン売却益: 1.7億ドル、+41%。買い取ったローンを投資家に売った時の差益
  • カードネットワーク収入: 0.9億ドル。自社のAffirm Cardで決済された時の手数料
  • サービシング収入: 0.5億ドル。売ったあとのローンの回収代行

取扱高(GMV)を商品別に見ると、金利ありの分割払いが72%、0%金利の月賦が13%、短期の0%分割(Pay-in-X、4回払いなど)が15%。伸びが一番速いのはPay-in-Xの+41%です。

この会社は売上から「取引コスト」(貸倒引当、調達金利、回収費用、0%ローンを額面で買い取る時の損)を引いたものをRLTCと呼び、粗利に相当する数字として使っています。第4四半期は5.9億ドル、GMVの4.19%。GMV100ドルにつき4ドル強が残る商売です。

アファーム 売上の内訳(2026年度第4四半期)金利収入5.7億ドル加盟店ネットワーク収入3.0億ドルローン売却益1.6億ドルカードネットワーク収入0.8億ドルサービシング収入0.5億ドル出所: 第4四半期の株主向けレター(損益計算書)

直近の決算の数字

  • GMV: 141億ドル、前年比+36%。30%超の成長が11四半期続いている
  • 売上: 11.7億ドル、+33%。GMVの8.29%
  • RLTC: 5.9億ドル、+39%。GMVの4.19%
  • 営業利益: 1.5億ドル、営業利益率12.6%。前年同期は6.6%
  • 調整後営業利益: 3.5億ドル、30.3%。株式報酬と提携先へのワラント費用と償却を除いた数字
  • 純利益: 16.2億ドル。前年同期は0.7億ドル
  • EPS(希薄化後): 4.62ドル。前年同期は0.20ドル
  • 営業キャッシュフロー: 3.0億ドル。現金と有価証券26億ドル、転換社債11億ドル、ネットキャッシュ15億ドル
  • 通期(2025年7月〜2026年6月): GMV 502億ドル(+37%)、売上42.6億ドル(+32%)、営業利益4.2億ドル(前年は0.9億ドルの赤字)、純利益19.3億ドル

2025年度第1四半期(2024年7〜9月)は売上7.0億ドルに対して営業損失1.3億ドルでした。そこから8四半期で営業利益率が12.6%まで来ています。

アファーム 四半期の売上と営業利益率2025年度第1四半期(2024年7〜9月)〜2026年度第4四半期(2026年4〜6月)。年度は6月末まで048121620億ドル7.0FY25Q18.7FY25Q27.8FY25Q38.8FY25Q49.3FY26Q111.2FY26Q210.4FY26Q311.7FY26Q4-19%-0.5%-1.1%6.6%6.8%10.5%8.5%12.6%-35%-3%29%売上営業利益率(GAAP)出所: SEC XBRL companyfacts(10-Q/10-K)、第4四半期の株主向けレター

純利益16億ドルの正体

営業利益1.5億ドルの会社が、純利益16.2億ドルを出しています。税引前利益は1.7億ドル。そこに法人税が14.5億ドルのマイナス、つまり戻しとして乗っています。

中身は繰延税金資産の評価性引当金の取り崩しです。過去の赤字の繰越欠損は将来の税金を減らす権利で、これまでは「本当に使えるか分からない」として資産に数えていませんでした。米国で3年累計の黒字になったので「使える」と判断を変え、一気に資産に計上しました。現金は動きません。第4四半期に実際に払った税金は280万ドルです。純資産は30.7億ドルから54.8億ドルに増えましたが、そのうち14.7億ドルがこの繰延税金資産です。

CEOのマックス・レブチン氏は手紙の冒頭で、「会計士に確認したうえで」評価性引当金を外した、純利益は「(今のところ)途方もない16億ドル」になった、と書いています。会社自身がこの数字を本業の成果として扱っていない。それは読んでいて分かりました。

本業の営業利益1.5億ドルにも注釈があります。うち5,300万ドルは、2社の大手提携先に渡したワラント(株式を買う権利)の費用です。営業利益の3分の1が、株式で払う営業費用に消えています。

金利が下がると儲かる会社

RLTCがGMV比で前年から9bp(0.09ポイント)改善した内訳が書いてあります。資金コストで18bpの改善、処理・回収費用で11bpの改善、売上の比率低下で17bpの悪化、貸倒引当などで3bpの悪化。改善のほぼ全部が調達コストです。

平均の資金コストは5.8%で、1年で103bp下がりました。6月に組成した5.5億ドルの証券化は応募が4倍超、利回り6%未満。借りられる枠は300億ドルです。

ここで気になるのが2027年度の予想の前提です。レターの「前提」の欄に、「金利先物の曲線に基づくと、短期の基準金利は2027年度に2026年度より上がると見込む」とあります。利益率の改善が調達コストの低下で作られたと数字で示した直後に、その前提は逆に動くと書いている。それでも通期の営業利益率は14.5%超の予想なので、金利以外で稼ぐつもりだ、と読めます。

アマゾンが22%

GMVの上位5社への集中は、第4四半期で42%(前年同期46%)、通期で44%(前年47%)。下がってはいますが半分近くです。アマゾン1社で通期GMVの22%。この比率は3年間、21〜22%で動いていません。アマゾンとは2025年11月に契約を結び直し、2022年に渡したワラントの償却期間を4年から9年に延ばしています。

集中の裏返しが、次の四半期の予想に出ています。2027年度第1四半期(7〜9月)のGMV予想は137〜140億ドルで、いま終わった四半期の141億ドルを下回ります。理由として会社が挙げているのが2つ。大手加盟店のセール行事が前年は第1四半期にあったのが今年は第4四半期に動いたこと(第4四半期の36%成長には「1桁前半」の押し上げが入っている)、それと、ある大手加盟店が後払いを自社のウォレットに切り替えたことです。名前は書いていません。影響は「第1四半期の最終月で解消する」としています。

集中を薄める側にあるのが自社カードで、Affirm Cardの利用者は520万人(利用者全体の19%)、カード経由のGMVは28億ドル、前年比+124%です。

銀行になろうとしている

10-Kで一番時間を使ったのはここです。アファームは2026年1月に、ネバダ州とFDIC(連邦預金保険公社)に「Affirm Bank」の設立を申請しました。産業融資会社(ILC)と呼ばれる、預金を集めて貸せる銀行の一種です。狙いは提携銀行への依存を減らし、調達コストを下げ、商品設計の自由を増やすこと。10-Kには「業界団体と消費者団体から反対が出ている」「審査が延びる可能性がある」とも書いてあります。

レターにはもう1つ、「Affirm Edge」という構想があります。他社のデビットカードに、アファームの審査と資金で「その場で分割にする」機能を載せるもの。米国には10億枚超のデビットカードがあり、2027年度下期に試験を始める、と。試験前なので数字はまだありません。

気になっていること

貸し倒れの数字が、少しずつ悪い方に動いています。30日超の延滞率(Pelotonと短期分割を除く)は2.5%で、前年同期から19bp上がりました。前四半期からは26bp下がっています。貸倒引当金は貸付残高の5.9%で、前年の5.6%から上がりました。四半期ごとに前年と並べます。

四半期末 2025年度 2026年度
9月末 2.8% 2.8%
12月末 2.5% 2.7%
3月末 2.5% 2.8%
6月末 2.3% 2.5%

4つの期末のうち3つで前年より上です。会社は「最近のローンの最終的な損失率は約3.5%で、過去と同じ水準」と書いていて、崩れてはいません。ただ、この延滞率は「Pelotonを除く」「Pay-in-Xを除く」の2つの除外をした数字です。Pay-in-XはGMVの15%を占める一番速く伸びている商品で、それを除いた延滞率を本表に置くのは、私には少し都合が良く見えます。4回払いの損失率は1%未満だと別の図で示してはいます。

株価は、8月27日の決算の日の終値が77.49ドル、翌週の9月1日に69.94ドル。10月9日に80.70ドルまで戻したあと、10月14日に1日で9.5%下げて70.51ドル。この日に何があったかは調べていません。10月23日の終値は70.08ドル、52週の値幅は42.10〜90.44ドルです。

次の決算で見る所

次の決算は11月5日の引け後の予定です。決算カレンダーの日付で、会社の案内はまだ見ていません。

  • GMVが137〜140億ドルの予想に対してどこに落ちるか。自社ウォレットに移った加盟店の分が、本当にその程度で済んだか
  • 営業利益率の予想は11.5〜13.5%。いま終わった四半期の12.6%から下がる予想になっている
  • 9月末の30日超延滞率。前年の9月末は2.8%
  • Affirm Bankの申請が進んだか、止まったか

結果は別の記事で書きます。

使った資料

組入比率は投資信託のデータと同じ2026年9月30日の月次レポートです。株価は書いた日のものです。

16億ドルの純利益を、会社自身が「途方もない」と括弧付きで書く決算を、私は初めて読みました。