盆栽の芽摘みは、樹形を維持し、小枝を増やして葉を小さくするための作業です。松柏類から雑木類まで、多くの樹種で春から秋にかけて行われます。本記事では、赤松、五葉松、モミジなど主要な樹種の芽摘みについて、適期や手順、樹種ごとの違いを解説します。
芽摘みとは
芽摘みは、春から夏にかけて伸びる新芽を摘み取る作業です。指やピンセットで芽を折り取ったり、ハサミで切り詰めたりします。この作業により、小枝を増やして葉を小さくし、枝を密にすることで、より緻密で立体的な樹形を作ることができます。
適期の見極め
芽摘みの適期は樹種や成長の様子によって異なります。多くの樹種では、新芽が活発に伸びる春から夏にかけて行います。
* 黒松: 新しい芽が出てくる3月から5月。
* モミジ: 新芽が膨らんできた段階の3月中旬から4月中旬。
* ヤマモミジ: 芽出し時期の3月後半から10月頃まで、伸びてきたら都度行います。
* ニレケヤキ: 活発に成長する4月から6月。
* ケヤキ: 4月下旬から9月。
* 桜: 4月中旬から7月下旬。
* 長寿梅・真柏・杜松: 5月から9月の成長期。
* 老爺柿: 生長期。
手順と判断基準
芽摘みは指やピンセット、時にはハサミを使って行います。樹種や目指す樹形によって、摘む芽や残す芽の判断基準が異なります。
* 摘む芽の選び方: モミジや真柏では中心の強い芽を、五葉松では最も強い芽を摘み取ります。黒松では勢いの強い芽を半分に折ります。ニレケヤキでは、枝元や内向きに付いている不要な芽を見つけ次第、早めに掻き取ります。
* 残す芽の数: 赤松では、新芽が3本以上に枝分かれしている場合、2本を残します。五葉松でも、多数の芽が出ている場合は最も強い芽を摘み、左右の2つの芽を残します。ヤマモミジでは、新芽を2葉残して芽摘みします。
* 道具の使い分け: 黒松のローソク芽は指やピンセットで折り取ります。五葉松では、葉を傷つけないように楊枝を刺して芽を取り除く方法もあります。
樹種別の違い
芽摘みの方法は、樹種によって大きく異なります。
* 黒松・赤松: 黒松は5月上旬に伸びたローソク芽を折り、赤松は3本以上に分かれた新芽を2本に整理します。
* 五葉松: 芽切りを行わないため、芽を半分に折る作業で短い葉を作ります。
* 真柏・杜松: 真柏は輪郭からはみ出した葉を指でつまみ、杜松は芽吹きが旺盛なため小まめな芽摘みが欠かせません。
* モミジ・ヤマモミジ: 新芽の中心を摘み、小枝を充実させます。ヤマモミジでは、軸を固めて短い小枝を作る「ハカマ取り」も行われます。
* ケヤキ・ニレケヤキ: 成長期に輪郭から飛び出す枝を切り詰めます。特にニレケヤキは成長が早いため、繰り返しの芽摘みで枝を密にできます。
* 長寿梅・枝垂れ梅: 長寿梅は成長期に飛び出す枝を切り小枝を増やします。枝垂れ梅は花後に伸びる新しい枝を約5cm(または2節)で剪定します。
* 桜・老爺柿: 桜は4月中旬から7月下旬、老爺柿は生長期に芽摘みを行います。
こんなやり方は要注意
枝垂れ梅の花後の枝
枝垂れ梅で花が散った後に伸びる新しい枝は、そのままにしておくと翌年花が咲きません。そのため、剪定が不可欠です。葉が茂り始めたら、新しい芽を剪定します。
ニレケヤキの不要な芽
ニレケヤキの枝元や内向きに付いている不要な芽を放置すると、枝が太くなったり傷が残ったりする原因になります。これらの芽は、見つけ次第早めに掻き取ります。
芽を摘む際の葉の損傷
五葉松の芽摘みでは、残す葉を傷つけないように注意が必要です。ピンセットで作業する際に葉を傷つけそうな場合は、楊枝を芽に刺して取り除く方法もあります。
実践のコツ
目的で使い分ける芽の選び方
樹をどう育てたいかによって、残す芽と摘む芽を使い分けます。黒松の若木で幹をまっすぐ太くしたい場合は、中心の一番強い芽を残します。五葉松で枝の長さを止めたい場合は芯の芽を、枝を伸ばしたい場合は左右の芽を残します。
若木の芽摘み
実生1、2年目の若いヤマモミジは、幹を太らせることが優先されます。そのため、細かいハカマ取りは行いません。伸びすぎた新芽を摘む程度の「ゆるい芽摘み」で十分です。
短い小枝を作るハカマ取り
ヤマモミジでは、ハカマ取りも有効な手法です。まだ新芽がハカマに収まっている段階でハカマを取ると、軸が外気にさらされて固まり、短い小枝が形成されやすくなります。


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