赤松や黒松の盆栽では、春に伸びた新芽を切り戻す「芽切り」という作業を行います。芽切りは、枝が伸びすぎるのを防ぎ、葉を短く仕立てるために行います。この作業によって二番芽を芽吹かせ、芽数を増やし、葉の長さを揃えることで、引き締まった樹形を維持します。
芽切りとは
芽切りとは、春に伸びた新芽を切り戻す作業です。この手入れによって二番芽を芽吹かせ、節間を短くし、短い葉に仕立てます。芽切りの目的は、樹形を大きくしないこと、芽数を増やすこと、そして葉の長さを揃えることにあります。二番芽は7月から9月まで伸びますが、一番芽よりも生長期間が短いため、結果として葉が短くなります。
適期の見極め
芽切りの適期は、樹種や木の大きさによって異なります。
赤松は、大きい木では6月中旬から7月上旬、中品や小品では6月下旬から7月が適期です。黒松は、6月中旬から7月中旬にかけて行います。黒松の場合、盆栽のサイズによっても時期が異なり、大型は5月末から6月10日頃、中型は6月10日から20日頃、小品は6月20日過ぎが目安となります。
樹種を問わず、葉の色が薄かったり黄色っぽかったりする場合や、一番芽が十分に伸びていない場合は、芽切りを見送る必要があります。
手順と判断基準
芽切りは、春に伸びた新芽を根元から切り取る作業です。樹勢のバランスを取るため、樹勢の弱い下枝や弱い芽から先に作業を始めます。赤松の場合、下枝の芽切りから1週間ほど時間を空けて上枝の芽切りを行うこともあります。
切る際の判断基準は芽の勢いです。赤松では、元気のない小さい芽は去年の葉を残して根元から切り、元気な太い芽は2~3mmの軸を残して切ることで、新芽の成長に時間差を作ります。
芽切りから約1ヶ月で新たな芽吹きが見られます。新芽が複数出た場合は、芽かき(芽の間引き)を行います。枝の先端がV字(チョキの形)になるよう、基本的に2本の芽を残します。
芽切り後には、古い葉を透かす「葉抜き(葉すかし)」も行います。赤松では、下枝は6枚、上枝は4枚程度残すのが目安です。葉を透かすことで、新芽の方に力がいくようにし、芽吹きを促します。
樹種別の違い
赤松と黒松の芽切りは基本的な目的や時期は似ていますが、細かな点で違いがあります。
赤松の芽切りでは、芽の勢いに応じて切り方を変えます。元気な芽は軸を2~3mm残し、弱い芽は根元から切ることで、二番芽の伸びを均一に近づけます。また、樹勢のバランスを取るため、下枝と上枝で作業時期を1週間ほどずらす手法も用いられます。
一方、黒松の芽切りは、春に伸びた新芽を前年の葉の際で切り取るのが基本です。また、盆栽の大きさ(大型・中型・小品)によって、より細かく適期が分けられています。
こんなやり方は要注意
時期が早すぎる芽切り
芽切りの時期が早すぎると、次に伸びる二番芽が大きくなりすぎてしまいます。その結果、枝が間延びする可能性があります。適期を慎重に見極めることが大切です。
樹勢が弱い木への芽切り
葉の色が薄かったり黄色っぽかったりする木や、春の一番芽が十分に伸びていない木は樹勢が弱い状態です。このような木に芽切りを行うと、さらに木を弱らせてしまいます。その年の芽切りは見送るべきです。
植え替えとの同時作業
芽切りと植え替えを同時に行うことは、盆栽に大きなダメージを与えます。同様に、植え替え直後に多量の肥料を与えることも、根を傷め、木を枯らす原因となる可能性があります。作業はそれぞれ適切な時期に分けて行います。
不適切な芽の残し方
黒松の芽かきでは、芽が上下に重なって残る「縦二分」は原則として避けるべきです。上の芽だけが強く伸びて樹冠の輪郭を乱し、下の芽が弱って将来的に不要な枝になるためです。芽は水平方向にV字型に2本残すのが基本です。
実践のコツ
樹勢をコントロールする
樹勢のバランスを整えるには、作業の順番が鍵となります。勢いの弱い下枝から先に芽切りを行い、勢いの強い上部の芽切りを後にすることで、下枝に力が集まりやすくなります。赤松では、下枝と上枝の作業を1週間ほどずらすことで、より効果的に樹勢を調整します。
例外的な芽の残し方
芽かきはV字に2本残すのが基本ですが、例外もあります。例えば黒松で、小さい芽が上にある場合や、将来新しい枝を作りたい箇所では、3本残す判断もあり得ます。また、樹冠の輪郭を形成する頭の部分では、例外的に縦二分で芽を残すこともありますが、これらは高度な判断を要します。


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