盆栽の針金かけは、枝や幹の形を整え、理想の樹形を作り出すための技法です。松柏類だけでなく、花物や実物、雑木類など、多種多様な樹種で実践されています。この記事では、ブルーベリーや五葉松、桜など14樹種の針金かけについて、適期や手順、樹種ごとの違いを解説します。
針金かけとは
針金かけは、枝や幹に針金を巻き付け、その力を利用して形を整える作業です。樹形を美しく仕立てるだけでなく、ケヤキを大木に見せるように枝を下げたり、真柏の幹をねじって古木感を演出したりする効果が期待できます。また、ブルーベリーでは枝を広げて光を浴びやすくすることで果実の品質を向上させ、枝数を増やして収穫量を増やす目的でも行われます。
適期の見極め
針金かけの適期は樹種や目的によって異なります。
* 春から夏(成長期)が適期:
* 長寿梅: 5月中旬の新梢が柔らかい時期、または春と秋。
* 老爺柿: 枝が柔らかい春や秋。
* 杜松: 5月から9月頃。
* 椿: 成長期である5月から8月。
* 秋から冬(休眠期)が適期:
* ケヤキ: 9月から3月。
* 黒松: 樹液の流動が少ない冬期は、強い針金かけに適している。
* その他:
* 黒松の苗木: 苗木が適切な太さになったら時期にこだわらず行います。
* 桜: 若いうちに行い、約半年で癖がつくため早めに外します。
* 枝垂れ桜: 若い枝は約10日で癖がつきます。
* 五葉松・黒松: 半年から1年程度かけたままにします。
手順と判断基準
針金かけは、適切な準備と手順を踏むことが大切です。
1. 事前準備:
五葉松では作業前に古い葉や密集した芽を取り除きます。真柏は葉を整理して枝の分かれ目をきれいにすると、針金がかけやすくなります。
2. 針金の選択と固定:
黒松の苗木にはアルミ線を使用し、太さに合わせて2mm程度のものから選びます。大島桜では、枝と同じくらいの太さのアルミ針金を選びます。黒松の苗木の場合、針金は根元からポットに刺し、ポットの底から出して固定します。
3. 巻き付けと曲げ:
イロハモミジでは主要な枝から始め、徐々に上へと進めます。大島桜では、枝に対して斜め45度になるように根元から密着させて巻きつけます。枝を曲げる際は、急に曲げず、少しずつ様子を見ながら徐々に行います。
樹種別の違い
樹種ごとに性質が異なるため、針金かけの方法も変わります。
* ブルーベリー: 収穫量や果実品質の向上、作業性の改善が主な目的です。
* 長寿梅: 新梢が柔らかい5月中旬や、芽出し前の春秋が適期です。
* 五葉松: 葉が横に伸びやすいため、葉にも針金をかけて上向きに整えます。
* ハナカイドウ: 枝が折れやすいため、作業には注意が必要です。
* イロハモミジ: 主要な枝から上部の枝へと順に作業を進めます。
* ケヤキ: 大木感を出すために枝を下げます。適期は9月~3月です。
* 黒松: 強い針金かけは冬期に行います。苗木は成長が早く、数ヶ月で針金が食い込み始めるため早めに外します。
* 大島桜・桜: 枝が割れたり裂けたりしやすいため、優しく扱います。
* 老爺柿: 枝が柔らかい春や秋が作業しやすい時期です。
* 枝垂れ桜: 若い枝は上を向くため、下向きに誘引します。約10日で癖がつきます。
* 真柏: 幹をねじって曲げ、将来のシャリ(枯れた部分)を形成して古木感を演出します。
* 杜松: 5月から9月頃が適期です。
* 椿: 成長期の5月から8月に行い、秋から休眠期の作業は避けます。
こんなやり方は要注意
無理な誘引と枝の損傷
ブルーベリーの誘引を無理に行うと、枝が折れたり花芽が落ちたりする可能性があります。ハナカイドウや桜の枝は折れやすく、特に桜は割れたり裂けたりしやすい性質があります。急に曲げると枝が弱る原因にもなります。
不適切な針金のかけ方
真柏に不必要な針金を巻くと、若い枝が枯れる原因となることがあります。特に不自然な位置に枝を作ろうとする場合は注意が必要です。アルミ線は一度曲げると形が戻りにくいため、曲げたい位置を正確に決めてから作業します。
実践のコツ
樹形を整えるテクニック
五葉松は葉にも針金をかけ、常に上向きになるように整えます。ケヤキは枝を針金で下げることで、大木のような風格を出すことができます。枝垂れ桜の若い枝は上向きに伸びるため、針金や紐で下向きに曲げる必要があります。
事前準備と針金の外し時
五葉松や真柏は、針金かけの前に葉や芽の整理を行うと作業がしやすくなります。桜は若いうちに形を付けると約半年で癖がつくため、幹に傷が残るのを防ぐために早めに針金を外します。2~4年程度の黒松の苗木は成長が早く、数ヶ月で針金が食い込み始めるので、食い込みすぎる前に外してください。


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