アルファベット(GOOG)の2026年第3四半期決算を読む。クラウド+103%、フリーキャッシュフローは2四半期続けてマイナス91億ドル、ATMで株124億ドル

次の決算は2027年2月3日ごろの見込みです(推定。前年の同じ時期から)。過去の発表日は2026年10月28日、7月22日、4月29日、2月4日。決算日の一覧


前の記事アルファベット(GOOG)の2026年第2四半期決算を一次ソースで読む。純利益1,122億ドルでフリーキャッシュフローはマイナス59億ドル、増資496億ドルを10月16日に出して、12日後の10月28日(米国時間)に第3四半期(7〜9月)の決算が出ました。この記事はその続きです。会社の説明や6月の増資の中身は前の記事に書いたので繰り返しません。

使うのは、10月28日にSECへ出た8-Kに付いている決算プレスリリースと、同じ日の決算説明会の書き起こし(allmind.ai、自動生成)です。四半期報告書(10-Q)は今日の時点でまだ出ていないので、受注残と契約義務の数字は説明会でCFOが読み上げた値です。株価は10月28日の終値で、決算は引け後に出たので、その反応は入っていません。

前の記事の見立ては「本業で稼ぐ現金より設備投資が大きく、足りない分を社債と株で埋めている」でした。今回も同じ形で、株を売る枠を使い始めていました。

前の記事で見ると書いた所

  • 設備投資: 514億ドル。前の期の449億ドルから増えて、前年同期の240億ドルの2.1倍。1〜9月で1,320億ドル。通年の予想1,950〜2,050億ドルは変えず、2027年は「大幅に増える」と前回と同じ言い方で、数字は第4四半期の説明会に持ち越しです
  • フリーキャッシュフロー: マイナス91億ドル。2四半期続けてマイナスで、幅も前の期のマイナス59億ドルから広がりました。営業キャッシュフロー423億ドルを設備投資514億ドルが超えた、という引き算です。直近12か月では197億ドルで、前の記事の時点の533億ドルから4か月で4割弱になりました
  • クラウドの受注残: 5,610億ドル。前の期の5,139億ドルから471億ドル増。前の期の「500億ドル増」のペースよりは少し緩い。TPUシステムの販売契約が何件増えたかは資料に無く、説明会で顧客の名前がいくつか出ただけです(後述)
  • その他の損益: マイナス82億ドル。前の期は株の評価益990億ドルでプラス980億ドルでしたが、今回はSpaceXの株価が下がって評価損87億ドル。EPSを0.55ドル押し下げたと脚注にあります。評価損を抜いたEPSは2.67ドル。前の期の同じ計算(評価益を抜いて2.85ドル)より下がっています
  • ATMプログラム: 使い始めていました。クラスA株1,200万株で43億ドル、クラスC株2,400万株で81億ドル、合わせて124億ドル。枠の残りは276億ドル。6月の8-Kにあった「株式報酬に伴う税金の支払いに使う」という理由は今回の資料に無く、同じ四半期の株式報酬に関する純支払いは54億ドルで、売った額の半分以下です
  • 第三者の計算能力: 稼働したのは「第3四半期のいちばん終わり」で、利益率への影響は限定的だったとCFOが言っています。第4四半期から使う量を増やすので、クラウドの利益率には「近いうちに逆風」と予告。見る所は次の決算に持ち越しです
前の記事で見ると書いた所: 第2四半期と第3四半期2026年4〜6月と7〜9月2026Q22026Q3設備投資+449億ドル+514億ドル営業キャッシュフロー+391億ドル+423億ドルフリーキャッシュフロー-59億ドル-91億ドルクラウド売上+248億ドル+307億ドル長期負債+982億ドル+1,251億ドル出所: 第2・第3四半期決算プレスリリース

今回の決算の数字

  • 売上: 1,276億ドル。前年比+25%(為替の影響を除いても+25%)、前期比+6%。stockanalysis.comの予想1,279億ドルをわずかに下回りました(0.3%)
  • 営業利益: 406億ドル。前年比+30%
  • 営業利益率: 31.8%。前年同期は30.5%、前の期は34%
  • その他の損益: マイナス82億ドル。うち株式の評価損が87億ドル
  • 純利益: 265億ドル。前年比-24%。優先株の配当3億ドルを引いた普通株主の取り分は262億ドル
  • EPS(希薄化後): 2.12ドル。前年同期は2.87ドル。stockanalysis.comの予想2.97ドル、Zacksの集計2.94ドルをどちらも下回りました。前年同期には株の評価益107億ドルが入っているので、評価損益を抜いて比べても2.67ドルは前年を下回ります
  • 営業キャッシュフロー: 423億ドル。前年同期は484億ドル、前の期は391億ドル。TPUシステムの在庫の積み増しと、2018年の欧州委員会の制裁金52億ドルの支払いが減らしたとCFOが説明しています
  • 設備投資: 514億ドル。前年同期は240億ドル
  • フリーキャッシュフロー: マイナス91億ドル。直近12か月で197億ドル
  • 現金と有価証券: 2,651億ドル。うち上場株式が904億ドル
  • 長期負債: 1,251億ドル。前の期の982億ドルから、第3四半期の社債287億ドルで増えました
  • 在庫: 133億ドル。前の期は100億ドル、2025年末は24億ドル
  • 総資産: 1兆33億ドル。2025年末の5,953億ドルから9か月で1兆ドルを超えました
アルファベット 四半期の売上と営業利益率2025年第2四半期(4〜6月)〜2026年第3四半期(7〜9月)05001,0001,5002,0002,500億ドル9642025Q21,0232025Q31,1382025Q41,0992026Q11,1982026Q21,2762026Q332.4%30.5%31.6%36.1%34%31.8%27%33%39%売上営業利益率出所: SEC XBRL(10-Q/10-K)、第3四半期決算プレスリリース。第4四半期は通期から9か月累計を引いた値

事業別では、Google Servicesが963億ドル(前年比+11%)で営業利益率40.7%、Google Cloudが307億ドル(+103%、前の期は248億ドル)で営業利益率36.2%。セグメントに割り当てない「Alphabetレベルの活動」(共有のAI研究開発の費用)は77億ドルの赤字で、前の期の58億ドルから膨らんでいます。

広告は、検索が634億ドル(+12%)、YouTubeが112億ドル(+9%)、ネットワークが75億ドル(+1%)。検索は前の期の633億ドルからほとんど増えていません。説明会で挙がった減速の理由は、為替、EUの少額輸入の免税廃止、6月に試合が集中したワールドカップの反動、それとAI Modeの検索が増えたのに広告の収益化が追いついていないこと。構造の話は最後の1つだけで、本当にそうかは次の四半期で分かります。

クラウドが2倍になった四半期に、現金が減った

売上が前年比で103%増えたクラウドと、マイナス91億ドルのフリーキャッシュフローが同じ四半期に並んでいます。この2つは別々の話ではありません。

クラウドの伸びの中には、TPUシステムの販売が「意味のある寄与」として入っています。自社設計のAI用チップを、ネットワークやソフトウェアまで組んで顧客のデータセンターに納める商品です。説明会でCFOが、この商売の現金の流れを順番に説明していました。契約を結ぶと受注残に載る。部品を買って在庫を積む。ここで現金が出る。納品して請求した時に、売上と現金が入る。今はその途中なので在庫が133億ドルまで積み上がり、現金が先に出ている。売上の大半は2027年に計上する見込み、という話でした。

TPUシステム販売の現金の流れ(説明会のCFOの説明)契約 → 受注残 → 在庫(現金が出る) → 納品 → 売上(現金が入る)。売上の大半は2027年部品を買う(現金が先に出る)納品・請求(売上は主に2027年)部品の取引先アルファベットTPUシステムを組む在庫 133億ドル顧客のデータセンターAI企業・金融・Oracle等クラウドの受注残 5,610億ドル(前の期 5,139億ドル)フリーキャッシュフロー -91億ドル(設備投資 514億ドル)出所: 第3四半期決算プレスリリース、決算説明会の書き起こし

クラウドの責任者のトーマス・クリアン氏は、在庫を積むのは契約を結んだ後だけだと言っています。顧客として名前が出たのは、Anthropic(直接とブロードコム経由)、Apple、金融のCitadel SecuritiesとJump Trading。それと新しくOracleと、ブラックストーンとの合弁のCrux AIに販売の提携を結んだとのことです。利益率は「個別の製品では開示しない」で前回と同じです。

一方で設備投資の514億ドルは、TPUシステムの在庫とは別の、自社で使う分です。約65%がサーバーとネットワーク機器、35%がデータセンター。契約上の購入義務は9,240億ドルで、前の期の8,110億ドルから1,130億ドル増えました。年間2,000億ドルを使っても、約束している分は積み上がる方が速い。

それで株を売っている。第3四半期の財務活動の欄は、入りが社債290億ドルとATMでの普通株の発行124億ドル、出が配当29億ドル、株式報酬関連54億ドル、借入の返済36億ドル。自社株買いは1〜9月ゼロです。前の記事で「現時点で株式市場に戻る計画はない」というCFOの発言を引きましたが、ATMでの売却はその4か月後に始まっていました。6月の増資と違って8-Kは出ず、プレスリリースの「追加情報」の欄に2文あるだけです。

営業利益率31.8%は、どこで下がったか

営業利益は30%増えているのに、営業利益率は前の期の34%から31.8%に下がりました。前年同期の30.5%よりは高い。

費用で伸びが大きいのは、売上原価のうち広告の支払い(TAC)を除いた部分で、351億ドル、前年比+32%。CFOはTPUシステムのハードウェアの原価、減価償却、データセンターの運営費を挙げています。TPUシステムを売ると、クラウドの売上は伸びるけれど、サービスより原価が重い。研究開発費は206億ドルで+36%。前の記事で引いた「減価償却費と運営費が損益を圧迫し続ける」という会社の予告は、そのとおりに出ています。

株価は10月28日の終値で321.89ドル。前の記事を書いた10月15日の344.91ドルから6.7%下がり、6月の公募価格351.80ドルとの差は広がっています。ATMで売ったクラスC株2,400万株は、手取り81億ドルを株数で割ると1株約338ドルで、公募価格より安く売ったことになります。

次の決算で見る所

次の決算の予定日は資料に無く、前年は2月4日に第4四半期の説明会がありました。

  • 2027年の設備投資の数字。第4四半期の説明会で出すと言っています。「大幅に増える」が何割か
  • フリーキャッシュフロー。3四半期続けてマイナスか。TPUシステムの納品が始まって現金が入り始めるか
  • ATMプログラムの残り276億ドル。第4四半期も売り続けたか。使い道の説明が出るか
  • クラウドの営業利益率。36.2%から、第三者の計算能力を使い始めた分でどこまで下がるか
  • 検索の前年比。12%からさらに下がるとCFOが言っている。AI Modeの広告がどこまで追いつくか

使った資料

組入比率は投資信託のデータと同じ2026年9月30日の月次レポートです。株価は書いた日のものです。

純利益が4倍になった四半期の次は、純利益が4分の1になった四半期で、どちらも本業の数字ではなく持っている株の値動きでした。この会社の損益計算書は、下の方から読む癖がつきました。

この会社は半導体を買う側・使う側の地図の「クラウド」にいます。