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オーロラ・イノベーション(AUR)の2026年第3四半期。200台は2月末へ、通期売上は1,500万ドルが900万ドルに。同じ日に株を売る枠を10億ドルに

次の決算は2027年2月10日ごろの見込みです(推定。前年の同じ時期から)。過去の発表日は2026年10月28日、7月29日、5月6日、2月11日。決算日の一覧


前の記事を公開したのが10月14日で、2週間後の10月28日に第3四半期の決算が出ました。フィジカルAIの組入4位、7.7%(9月30日の月次レポート)のオーロラ・イノベーションです。どんな会社かは前の記事オーロラ・イノベーション(AUR)は売上200万ドルの四半期に時価総額107億ドル。決算と投資家デーを読む。200台と3万台の算数、ウーバーが半分売った株に書いたので繰り返しません。所長はこの決算についても何も言っていません。

使うのは、10月28日の株主レター(8-Kの添付)と同じ日の10-Q、決算のプレスリリース、説明会のスライド、10月26日のチャージャー・ロジスティクスとの覚書のプレスリリース、それと決算と同じ10月28日に出た株の売り出しの目論見書の補足(424B5)です。決算説明会の書き起こしはまだ取れなかったので、質疑の中身は読んでいません。目論見書はSECの提出一覧で決算の隣に並んでいたので開きました。

前の記事の最後に「10月28日に25台が何台になったかで分かる」と書きました。資料の答えは「20台超を作り終えて、車両に入りつつある」で、年末200台の期限は2月末に動きました。

前の記事で見ると書いた所

  • 9月末の第2世代トラックが20〜25台に届いたか: 株主レターの言い方は「20台超の無人トラックをすでに作り終え、車両に入りつつある」。作った台数で、走っている台数ではありません。何台が荷物を運んでいるかは資料に無い
  • 第3四半期の売上: 300万ドル。前の記事で「多くて400万〜500万ドル」と書いた範囲の下です。stockanalysis.comの予想300万ドルと同じ
  • ハーシュバックの正式契約: 資料に無い。株主レターにもスライドにもハーシュバックの名前は文字として出てこず、プレスリリースでは会社紹介の顧客一覧にあるだけで、正式契約の8-Kも10月28日までに出ていません。「年内に締結の見込み」の期限まで2か月。代わりに別の会社、チャージャー・ロジスティクスとの500台の覚書が増えました
  • ATMで何株売ったか、いくらで売ったか: 600万株を平均6.56ドル、手取り4,100万ドル。第2四半期の3,000万株、7.50ドルから急に減りました。手取りのうち2,300万ドルは従業員の株式報酬の納税に使っています

今回の決算の数字

  • 売上: 300万ドル(0.03億ドル)、前年同期100万ドル、前の四半期200万ドル。stockanalysis.comの予想0.03億ドルと同じ
  • 売上原価: 800万ドル。売上の2.7倍で、粗利は今回もマイナス
  • 研究開発費: 2.03億ドル、前年同期1.79億ドル。株式報酬を除くと1.60億ドル
  • 販管費: 0.49億ドル、前年同期0.38億ドル
  • 営業損失: 2.57億ドル、前年同期2.22億ドル、前の四半期2.66億ドル
  • 純損失: 2.34億ドル、前年同期2.01億ドル
  • 1株損失: 0.12ドル、前年同期0.11ドル。Zacksの予想(アナリスト3人)は-0.12ドルで同じ。会社は調整後EPSを出していないのでGAAPの値と比べています。Zacksの予想がどちらの基準かは書かれていません
  • 調整後EBITDA: マイナス1.97億ドル、前年同期マイナス1.65億ドル
  • 営業キャッシュフロー: 第3四半期は約マイナス1.70億ドル、設備投資0.36億ドル。1〜9月の累計はマイナス5.54億ドル(前年同期マイナス4.35億ドル)
  • 現金と短期投資: 10.34億ドル。6月末は約12億ドル、2025年末は12.8億ドル
  • 株数: 9月末の発行済み20.15億株、2025年末から3.7%増。損失1株当たりの計算に使う加重平均は前年同期比+6.0%
オーロラ・イノベーション 四半期の営業損失2024年第4四半期から2026年第3四半期まで。売上は各四半期0〜300万ドル00.81.62.43.24億ドル22024Q42.12025Q12.32025Q22.22025Q32.42025Q42.42026Q12.72026Q22.62026Q3営業損失出所: SEC XBRLデータ、株主レター。第4四半期は通期から1〜9月を引いた値

営業損失は前の四半期より減りましたが、株式報酬が0.54億ドル入っているのは同じです。設備投資は1〜9月で0.92億ドルと前年同期の4倍で、貸借対照表の「車両」が2025年末の0.42億ドルから1.26億ドルに増えました。トラックを買っている跡はここに出ています。

200台は2月末、通期売上は900万ドル

一番の変化はCFOの1段落にまとまっています。「生産の立ち上がりが前の計画より約6週間遅れていることを反映し、2026年の売上を約900万ドルと見込む」「200台の節目は2月末までに超える見込み」。7月の時点では通期1,400万〜1,600万ドル(中間値1,500万ドル)、年末に200台でした。

6週間の遅れが通期の売上を4割削るのは、第4四半期に売上の半分以上を載せる計画だったからです。7月の見通しどおりなら10〜12月だけで700万ドル以上のはずでした。1〜9月の売上は600万ドルなので、新しい見通しから逆算すると10〜12月は300万ドル。第3四半期と同じです。

2026年の売上 約900万ドルの内訳(四半期ごと)10〜12月は新しい通期見通しから逆算11%1〜3月 1百万ドル22%4〜6月 2百万ドル33%7〜9月 3百万ドル33%10〜12月(逆算) 3百万ドル7月の見通し(1,400万〜1,600万ドル)では、10〜12月だけで700万ドル以上の計画だった出所: 株主レター、SEC XBRLデータ

遅れた理由は株主レターに書いてあります。「この1か月の初期の立ち上げは、部材の入手、部品の品質、ライン末端の検査で見つかった問題に制約された」。ラウシュの週20台のペースは「12月上旬」に達する見込みで、前の記事の時点では「10月に年産1,000台ペース」でした。

一方で、2027年末の1,000台超は「引き続き軌道上」のまま動いていません。12月上旬から週20台を1年続ければ1,000台は算数として届く、という理屈でしょう。ただ、年末200台の方はその同じ算数が6週間ずれたばかりです。

売上の見通しは7月から4割縮んだ7月の決算の時点と、今回(10月28日)7月時点今回2026年通期の売上見通し15百万ドル9百万ドルうち10〜12月7百万ドル3百万ドル7〜9月(見立ての上限と実績)5百万ドル3百万ドル出所: 株主レター(2026年7月29日、10月28日)、前の記事の見立て

株を売る枠を10億ドルに広げた日

決算と同じ10月28日に、424B5という書類が出ています。ATM(取引所で少しずつ株を売る仕組み)の契約を結び直し、売れる金額を「残り2.46億ドル」から10億ドルに広げた、という中身です。売り手の証券会社も3社から6社に増え、手数料は売却額の最大3%。この契約ではこれまでに1.895億株を売って11.75億ドルを調達していて、割ると1株6.20ドルです。

なぜ今か、は数字をつなぐと見えます。手元の現金と短期投資は10.34億ドル。第4四半期の現金使用は約2.5億ドルと会社が言っていて、これまでの「四半期平均1.9億〜2.2億ドル」より多い。車両を増やす分です。四半期2.5億ドルのままなら、株を売らなければ2027年の後半に手元が尽きる計算で、10-Qにも「適切な最低現金残高を保つため、機会を見て追加の資本を調達する」とあります。

第3四半期にATMで売ったのは600万株、手取り4,100万ドルだけでした。平均6.56ドルで、第2四半期の7.50ドルから下がり、10月27日の終値は5.12ドルです。安い所で大きく売らなかった、とも読めますし、売れなかった、とも読めます。枠を10億ドルにした今、5ドル台で全部売れば約2億株で、発行済みの1割です。株数が増えるペースは、1〜9月で3.7%でした。

前の記事で「ウーバーが半分売った」と書きました。今回の資料にウーバーの売却の話は出てきません。売り手が大株主から会社自身に代わった、というのが今四半期の株の需給です。

覚書が2本で1,000台

明るい側の話も書きます。10月26日にチャージャー・ロジスティクスと、DaaS(運送会社がトラックを持ち、オーロラはシステムの利用料を取る方式)で500台の覚書を結びました。納車は2027年と2028年、会社の言い方で「数億ドル規模の複数年の売上になりうる」。スライドには「無人運行の顧客は10社、うち2社がDaaSの覚書で合わせて1,000台」とあります。ハーシュバックの500台と、チャージャーの500台です。

ただし、こちらも「拘束力のない覚書」です。プレスリリースは「正式契約の上で」と断り、株主レターの注意書きには「チャージャーの意向が最終化され拘束力のある発注になるかは、正式な文書による」と会社自身が書いています。4月のハーシュバックの覚書に付いていた注意書きと同じ形の文章です。半年前の覚書が正式契約になったという報せが無いまま、同じ形の覚書が1本増えた、というのが今の状態です。

ボルボの300台超(2027年)、AUMOVIOの第3世代の部品(2027年後半に量産開始)、FMCSAの5年の免除(停車時に路上に置く警告板の代わりに車載の警告灯を認めた)は、株主レターにある通りで、私は省きます。免除だけ一言足すと、運転手がいないトラックには警告板を置きに降りる人がいないので、無人で走らせるなら要る種類の許可です。

オーロラのお金とトラックの流れ(2026年10月時点)株を売って現金を作り、トラックを買って、運賃をもらう。本命のDaaSはまだ覚書ATMで株を買う枠は10億ドルにトラックの改造を発注無人で荷物を運ぶ売上 四半期300万ドル株式市場の投資家オーロラ現金と短期投資 10.34億ドルラウシュ改造工場運送会社10社DaaS覚書 2社1,000台週20台は12月上旬200台は2月末10〜12月の現金使用 約2.5億ドル出所: 株主レター、10-Q、424B5、説明会スライド

次の決算で見る所

第4四半期の決算は2027年2月の見込みで、日付は資料にありません。200台の期限が「2月末」なので、決算の日にはまだ届いていない可能性があります。

  • 週20台のペースに12月上旬に達したか。達したなら、決算の日までに何台が走っているか
  • 第4四半期の売上が逆算の300万ドルを超えたか
  • 第4四半期の現金使用が約2.5億ドルの見込みに収まったか、年末の手元がいくら残ったか
  • 新しい10億ドルの枠で、何株をいくらで売ったか
  • ハーシュバックかチャージャーの覚書が正式契約になったか。ハーシュバックの「年内」はこの決算の前に期限が来ます

株価は、決算発表の前の10月28日の終値が5.09ドル。発表後の時間外取引は、書いた時点で4.75ドル前後まで下げています。時価総額は10-Qの表紙の株数(10月21日時点でクラスA 17.30億株とクラスB 2.90億株)に終値を掛けた私の計算で約103億ドル、前の記事の107億ドルからほぼ横ばいです。

説明会で分かったこと(10月29日に追記)

説明会の書き起こしが読めたので、質疑の中身を足します。話し手はCEOとCFOで、冒頭の説明は株主レターと同じ内容でした。新しい話は質疑にあります。

前の記事で資料に無いと書いた「何台が荷物を運んでいるか」は、説明会でも出ませんでした。CEOの言い方は株主レターと同じ「20台超を作り終えて車両に入りつつある」のままです。

遅れの中身は質疑で少し具体的になりました。CEOは、部材の遅れで一部の複雑な部品は供給元を探し直したと説明し、CFOは例としてワイヤーハーネスを挙げ、品質の足りない部品はより量産に強い供給元に切り替えたと言っています。費用への影響は「ほぼ中立か、手直しが減る分むしろ節約」で、粗利の目標には響かないという答えでした。運転システムの部品一式はファブリネットからの供給がトラックの組み立てより先に進んでいるそうで、詰まっているのは車両側の組み付けです。ラウシュは2交代制に入りました。CFOが「2本目のライン」と言い、CEOが「2交代制」と訂正する場面があったので、ラインが増えたわけではありません。

第4四半期の現金使用約2.5億ドルが一時的かどうかは、CFOの答えでは「ほぼ全部が車両の積み増しで、研究開発費の構造は変わらず、販管費が少し増える」でした。通期の現金使用は従来の目標範囲に収まる見込みで、第2四半期の現金賞与もATMで賄ったと言っています。

2027年の需要について、CEOは「最初の200台は契約済み、自社で運ぶ方式の車両は500台を上限にほぼ割り当て済み、DaaSの覚書が1,000台」と整理しました。受注残はアナリストに聞かれても「今は話す時ではない」と出していません。覚書が正式契約になる時期は2人のアナリストが聞きましたが、どちらにも日付の答えはありませんでした。CFOは「2本とも転換すると確信している」と言い、残っている論点は価格や台数ではなく、整備を誰がするか、寿命の後の処分や再利用をどうするかといった運用面だと説明しています。ハーシュバックの名前は説明会でも出ていません。

決算と同じ日に広げた10億ドルのATMの枠は、質疑で誰も聞かず、会社も触れていません。ダイムラーについては2回聞かれ、CEOは「いずれ一緒にやる機会を楽しみにしている」と答えるにとどまりました。2030年の3万台は累計で、業界は年25万台作るので生産能力としては小さい、というのがCFOの説明です。質疑はアナリスト6人で、時間切れで終わりました。

使った資料

組入比率は2026年9月30日の月次レポートです。株価は書いた日のものです。

6週間なら誤差だと言われれば、そうかもしれません。ただ、その6週間の先にある穴を埋めるために枠を10億ドルにしたのだとしたら、誤差の値段としては高い気がします。

この会社は半導体を買う側・使う側の地図の「車・産業機器」にいます。