寄り道ラボ

盆栽の記録

もみじ

もみじの年間管理

2026年7月13日


もみじで覚えることは3つです。

太枝は落葉後から1月までに切る。 芽が動き出す2月下旬以降に切ると、切り口から樹液が噴き出して何日も止まらず、そのまま枝を失うことがあります。生育期はもちろん切りません。松の感覚で春に太枝を切ると、ここで失敗します。

針金の跡は消えない。 樹皮が薄く滑らかなので、食い込むと螺旋の傷が一生残ります。もみじの形は剪定で作り、針金は細枝の補助にとどめます。

水を切らさない。 松よりずっとよく吸い、真夏は1日2〜3回になります。一度しおれた葉は縮れて元に戻らず、秋の紅葉もそこで駄目になります。

作業ごとに、いつ/する・しない/どうやる、の順で書きます。水やりと施肥、病害虫も同じ形で、いつの欄が通年になるだけです。時期は関東平野部の目安です。

どんな樹か

項目
学名 Acer palmatum
ムクロジ科カエデ属
原産 日本(本州〜九州)
対生。掌状に5〜7裂
樹皮 薄く滑らか。老木で縦に割れる

落葉樹なので、春の芽出し、夏の緑、秋の紅葉、冬の裸木と、年に4回顔が変わります。枝ぶりがそのまま見える冬の姿がもみじの見どころで、そのぶん枝の作りをごまかせません。

盆栽では山もみじ系のほか、芽出しが赤い出猩々、葉の小さい清姫、幹肌が荒れる荒皮性などが使われます。園芸品種は山もみじより弱いものが多く、葉刈りは控えめにします。

一年の流れ

作業 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
水やり
施肥
芽摘み
葉刈り
針金かけ
剪定(太枝)
剪定(小枝)
植え替え

記号:◎ 最適期/○ 適期/△ 控えめ/✕ やると害になる/─ 対象外

松の表と比べると、太枝の剪定が3月から9月まで✕で埋まっています。ここがもみじの制約です。

作業

植え替え

  • いつ 2月下旬から3月中旬、芽が動く直前。1〜2年に一度。
  • する・しない 松より頻繁に。根の回りが早く、放っておくと鉢の中が根で埋まって水が入らなくなる。植え替えた年は葉刈りをしない。
  • どうやる 根鉢を外から1/3から1/2ほどほぐし、太い根を整理して細根を残す。用土は赤玉土主体で、松より保水を効かせる。植え替え後は明るい日陰で1〜2週間養生し、遅霜に当てない。

芽摘み

  • いつ 4月から5月。新芽が2対の葉を開いた頃。
  • する・しない 節間を詰めたい枝にする。放っておくと最初の一節が長く伸び、その枝が使えなくなる。弱い枝は摘まず伸ばす。
  • どうやる 開いた葉を1対残して、その先の芽をピンセットで摘む。強い枝から早めに、弱い枝は遅らせる。全部を同時に摘むと、強い枝がますます強くなる。

葉刈り

  • いつ 6月。春の葉が固まってから、梅雨のあいだに。7月に入ってからはしない。
  • する・しない 肥料が効いて元気な木だけ。植え替えた年の木、弱った木、太らせる途中の若木にはしない。年に1回まで。 二番葉をもう一度刈ると翌春の芽が出ない。自信が持てなければしない。葉刈りをしなくても、もみじは作れる。
  • どうやる 葉柄を1〜2mm残して、ハサミで葉身だけを切る。樹勢に偏りがあれば、強い枝と上の枝だけ刈る部分葉刈りにする。刈ったら2〜3週間は明るい日陰に置き、水を減らし、肥料は二番葉が開いてから。
  • 詳しくは もみじの葉刈り(芽摘み・葉すかしとの違い、部分葉刈り、刈ったあとの置き場と水、二番葉が出ないとき)。

針金かけ

  • いつ 落葉後から芽出し前の11月から2月。細枝なら葉刈り直後の6月にもかけられる。
  • する・しない 生育期にかけると1か月で食い込み、跡は消えない。 太枝の強い曲げは向かない。形は剪定で作り、針金は細枝の向きを直す補助にする。
  • どうやる 枝の太さの1/3ほどの番手を45度で巻く。樹皮が傷つきやすいので、太枝はラフィアや紙テープを巻いてから。1〜2か月に一度は点検し、当たり始めたら外す。

剪定(太枝)

  • いつ 落葉後の11月から1月。
  • する・しない 2月下旬以降は切らない。 芽が動き出すと切り口から樹液が止まらなくなる。生育期は論外。
  • どうやる 輪郭から飛び出す枝、重なり枝、忌み枝、車枝を元から抜く。落葉して枝ぶりが全部見えるこの時期が、構造を直す唯一の機会。切り口には必ず保護剤を塗る。

剪定(小枝)

  • いつ 落葉後が本命。生育期は伸びすぎた枝の切り戻しなら随時。
  • する・しない 細い枝なら生育期でも切れる。太枝と違って樹液の問題は起きにくい。
  • どうやる 節のすぐ上で切る。葉が対生なので、切った位置の芽の向きで次の枝の向きが決まる。外を向く芽の上で切り、内側を向く芽の上では切らない。

水やり

  • いつ 通年。春秋は1日1回、真夏は1日2〜3回、冬は3〜5日に1回。松よりずっとよく吸う。
  • する・しない 水を切らすと葉が縮れて、その葉は戻らない。 冬も完全に乾かすと細根が枯れる。真夏は西日で葉が焼けるので、午後に日陰になる場所か寒冷紗の下に。年間を通して日照が足りないと葉が大きくなって間延びし、紅葉も鈍る。
  • どうやる 表土が乾いたら、鉢底から流れ出るまで。冬は鉢土を凍らせないよう、寒風の当たらない場所に。

施肥

  • いつ 4月から6月と、9月から10月。真夏はしない。
  • する・しない 窒素が多いと葉が大きくなり、もみじの持ち味が消える。葉が大きいのを葉刈りで直す前に、肥料と日照を見直す。紅葉をよくしたいなら9月以降は窒素を切る。 葉に窒素が残ると緑が抜けきらず、くすんだ色にしかならない。
  • どうやる 有機性の置肥を月に1回取り替える。葉刈りをしたら二番葉が開くまで止める。

病害虫

  • いつ アブラムシは春の新芽。うどんこ病は梅雨と秋。テッポウムシは春から秋。
  • する・しない いちばん厄介なのがテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)。幹に穴が空き、木くずのような糞が出ていたら中にいる。放置すると幹の中を食い進み、ある日いきなり上が枯れる。幹が見どころの樹なので、春から秋は幹を触って確かめる。
  • どうやる 穴を見つけたら針金を差し込むか、専用の殺虫剤を注入する。うどんこ病は風通しで予防する。

作業別のページ

関連ページ

  • 黒松の年間管理(松の一年。太枝を切るのが休眠期なのはもみじと同じで、春に切るとどちらも失敗する)
  • 9月の盆栽の作業(紅葉のために窒素を切る、残暑の水切れ)