マイクロソフト(MSFT)の2027年度第1四半期決算を読む。売上923億ドルの11%はOpenAI向け、受注残の内訳は消え、未開始のリースは3,646億ドルに

次の決算は2027年1月27日ごろの見込みです(推定。前年の同じ時期から)。過去の発表日は2026年10月28日、7月29日、4月29日、1月28日。決算日の一覧


マイクロソフト(Microsoft、ティッカー MSFT)の続報です。前の記事マイクロソフト(MSFT)の2026年度決算を一次ソースで読む。受注残6,780億ドルの84%増はOpenAI抜きだと25%、未開始のリースが3,291億ドルを10月13日に出して、その2週間後の10月28日に2027年度第1四半期(2026年7〜9月)の決算が出ました。

使うのは、10月28日の決算プレスリリース(8-K)、同じ日の四半期報告書(10-Q)、決算説明会の会社原稿とスライド、来期見通しのスライド、それと同じ日にもう1本出た8-Kです。もう1本は、9月に発表したセグメント変更に合わせて過去3年分の数字を組み替えたもので、これを読まないと前の記事と今回の数字がつながりません。説明会の質疑応答は、書いた時点では書き起こしに入っていません。

前の記事で一番長く書いた受注残の中身と、貸借対照表に載っていないリース。両方に続きがあって、片方は数字が出て、片方は数字が消えました。

前の記事で見ると書いた所

  • Azureの伸び(会社予想は為替一定で約45%): 48%。上回りました。CFOは「他社から借りるデータセンターの引き渡しが遅れた中でも」と言っています
  • 受注残のOpenAI抜きの伸び(前回は25%): 資料に無い。プレスリリースにも会社原稿にもスライドにも、OpenAIを除いた数字はありません。代わりに10-Qに別の数字が出ています(後述)
  • 設備投資(会社予想は「500億ドル超」): 452億ドル。下回りました。理由は同じ引き渡し遅れで、暦年2026年の見込みも約1,750億ドルから約1,700億ドルに下がり、遅れた分は下期に回るそうです
  • Microsoft Cloudの粗利率(「前四半期並み」の65%を割らないか): 66%。1ポイント上がりました。ただし来期の見通しは「約65%」です
  • 全社の売上予想898.5〜909.5億ドル(中央値で+16.4%): 923億ドル、+19%。「2桁を割ると話が変わる」と書いたOfficeのセグメント(予想+11〜12%)は、セグメント自体が無くなりました。近いものとしてMicrosoft 365の法人向けクラウドが+17%です

当たったが2つ、外れたが2つ、資料に無いが1つ。外れた2つはどちらも「設備が間に合わなかった」で、会社の言い分どおりなら需要の問題ではありません。

マイクロソフト 会社予想と実績(2027年度第1四半期)7月の説明会で出た予想と、10月28日の実績会社予想実績Azure 伸び率45%48%全社売上 伸び率16.4%19%クラウド粗利率65%66%出所: 決算プレスリリース、決算説明会の会社原稿。全社売上の予想は予想幅の中央値

今回の決算の数字

  • 売上: 923億ドル、前年比+19%。前の期は900億ドル。stockanalysis.com の予想907.4億ドルに対して上振れ1.7%
  • 粗利率: 67.8%。前年同期の69.0%から低下、前の期の67.2%からは回復
  • 営業利益: 459億ドル、+21%。営業利益率49.8%(前の期45.1%)
  • 純利益(GAAP): 366億ドル、+32%。前年同期にOpenAI関連の損失41億ドルがあった反動で、それを除いた非GAAPは364億ドル、+18%
  • EPS(GAAP / 非GAAP): 4.92ドル / 4.89ドル。非GAAPはOpenAI関連の損益を除いたもので、stockanalysis.com の予想4.72ドルに対して上振れ3.6%。Zacks の集計(アナリスト14人)は4.71ドルで、2つはほぼ同じ
  • 営業キャッシュフロー: 580億ドル、+29%
  • 設備投資: 会社の定義(ファイナンスリース込み)で452億ドル、+30%。現金で払った分は394億ドル。前の期は410億ドル / 358億ドル
  • フリーキャッシュフロー: 186億ドル(会社の数字。前の期196億ドル)
  • 手元資金: 645億ドル。6月末の768億ドルから123億ドル減。期中に借入金を49億ドル返済

純利益366億ドルに対してフリーキャッシュフローは186億ドル。前の期と同じ構図です。

マイクロソフト 四半期の売上と粗利率2025年度第1四半期(2024年7〜9月)〜2027年度第1四半期(2026年7〜9月)03006009001,2001,500億ドル656FY25Q1696FY25Q2701FY25Q3764FY25Q4777FY26Q1813FY26Q2829FY26Q3900FY26Q4923FY27Q169.4%68.7%68.7%68.6%69%68%67.6%67.2%67.8%66%68.5%71%売上粗利率出所: 決算プレスリリース、前の記事(SEC XBRL)

セグメントが2つになり、Azureの売上が初めて金額で出た

セグメントは「Agents and Infra」(売上768億ドル、+25%、営業利益率52.8%)と「Devices and Consumer」(155億ドル、-3%、営業利益率34.6%)の2つ。旧Officeと旧クラウドを足して1つにし、Windowsだけを消費者向けに移した格好で、全社売上の83%が1つのセグメントに入ります。会社にとって都合がいいのは、営業利益率60%だったOfficeの数字が、Azureと混ざって見えなくなることです。

代わりに製品別の売上が8本出るようになり、ここに初めてAzureの金額が載っています。332億ドル、前年同期の224億ドルから+48%、全社売上の36%。前の記事では「年間1,000億ドル超」とCEOが口で言った数字しか無かったので、前進です。続くのがMicrosoft 365クラウド278億ドル(+17%)、サーバー製品とOfficeの買い切り84億ドル(-3%)、検索広告66億ドル(+10%)、Xbox 54億ドル(-2%)、LinkedInとDynamicsの業種向け53億ドル(+9%)、Windows OEMとデバイス36億ドル(-22%)、サポート等21億ドル(+4%)。Windowsは来期30%台半ばの減少見込みで、前年のWindows 10サポート終了の反動と在庫のだぶつきが理由です。

マイクロソフト 製品別の売上(2027年度第1四半期)新しい開示。Azureの金額は今回が初めて36%Azure 332億ドル30%Microsoft 365クラウド 278億ドル9%サーバー製品・Officeの買い切り 84億ドル検索広告 66億ドルXbox 54億ドル業種向け(LinkedIn、Dynamics) 53億ドルWindows OEM・デバイス 36億ドルサポート等 21億ドル合計 923億ドル。Azureが36%、Microsoft 365クラウドが30%OpenAIからの売上 100億ドルはこの中のどこかに入っている出所: 決算プレスリリース(Product and Service Offerings Revenue)

受注残の内訳が消えて、OpenAIからの売上が出た

商用の受注残(RPO)は6,770億ドル、+73%。前の期は6,780億ドルで+84%でした。残高は横ばい、伸び率は11ポイント落ちています。受注は-12%で、会社は前年同期の大きなAzure契約(受注+112%)の反動だと言っています。

前の記事で頼りにした「OpenAIを除くと+25%」は、今回どこにもありません。受注残の説明は「12か月以内に認識する分が+29%、それ以降の分が+98%」に変わりました。遠い約束ほど増えている数字です。

その代わり、10-Qの関連当事者の注記に、前の記事を書いたときには見なかった数字があります。OpenAIは持分法の投資先(持分約24%)なので取引が開示されます。7〜9月にOpenAIとの商業契約から計上した売上は100億ドル。全社売上の約11%です。売掛金は72億ドルで、6月末の60億ドルから増加。売掛金全体が621億ドルなので1社で12%。出資の約束130億ドルのうち120億ドルが払込済みです。

100億ドルには収益分配の受け取りも含まれると注記にあり、Azureの332億ドルのうちいくらがOpenAIかは分かりません。それでも、受注残の内訳が消えた四半期に、損益計算書の側で1社の重さが見えるようになりました。

マイクロソフトとOpenAI、データセンターの関係(2026年9月末)10-Qの関連当事者の注記とリースの注記から売上 100億ドル未開始 3,646億ドルOpenAI持分 約24%マイクロソフト売上 923億ドル(7〜9月)データセンター(リース)出資 120億ドル払込済み売掛金 72億ドルOpenAI向けは売上の約11%受注残 6,770億ドル(+73%)の内訳は無し6月末 3,291億ドルから3か月で +355億ドル出所: Microsoft Form 10-Q(2027年度第1四半期)

未開始のリースは3,646億ドル、会社は「資金調達をする」と言った

10-Qのリースの注記。「2026年9月30日時点で、主にデータセンターの、まだ開始していないリースが3,646億ドルある。2027年度から2034年度の間に開始する」。6月末の3,291億ドルから3か月で355億ドル増え、終わりの年も1年延びました。

貸借対照表に載っているファイナンスリースの負債は710億ドル(6月末666億ドル)。前の記事でCFOが「今後は営業リースに移る」と言った件は、この四半期に数字で見えます。新しく計上した使用権資産が、営業リースで65億ドル(前年同期14億ドル)、ファイナンスリースで52億ドル(同91億ドル)。設備投資に入らない営業リースの方が、もう大きい。

投資キャッシュフローの「その他」が129億ドルの支出で、説明は「主に部品の購入を円滑にするため」。CFOは設備投資の4分の3が「寿命の短い資産、主にCPUとGPU」で、「メモリとストレージの価格上昇を含む」と言っています。

そして会社原稿の最後に、前の期には無かった一文があります。「事業が生む現金を補い財務の柔軟性を保つため、魅力的だと判断すれば追加の資金調達源を利用する」。その直前は「2027年度もフリーキャッシュフローはプラスを維持する見込み」。四半期に580億ドルの営業キャッシュフローを稼ぐ会社が、プラスを維持することを約束として言い、借りる準備があると言った。来期の設備投資は「500億ドル超」、下期はさらに増やすそうです。

人は2%減のまま、希望退職の募集を新しく始めました。費用は来期の見通しに入っていますが、金額は資料にありません。

次の決算で見る所

次は2027年度第2四半期(10〜12月)。IRページにはまだ日付が無く、前年の同じ決算は1月28日でした。

  • Azureの伸び。会社予想は為替一定で49〜50%。遅れた他社設備の一部は下期にずれ込んだままなので、「効率化で補う」が続くか
  • OpenAIからの売上。次の10-Qの注記で100億ドルが増えるか、売上の11%という割合が動くか
  • 未開始のリース。3か月で355億ドル増えた。4,000億ドルを超えるか
  • 資金調達。「追加の資金調達源」が社債なのかリースなのか、次の10-Qの負債の注記で分かる
  • 全社の売上予想は960〜971億ドル(+18〜19%)。営業利益率は「前年比でやや低下」

使った資料

市場予想は stockanalysis.com と Nasdaq に載る Zacks の集計で、決算発表前の10月28日時点のものです。組入比率は2026年9月30日の月次レポートです。株価は書いた日のもので、10月28日の終値531.01ドル(決算発表の前。前の記事の10月12日は541.16ドル)。発表後の値動きは、書いた時点のデータにまだありません。

受注残の内訳を出さなくなった四半期に、売上の1割が1社だと注記に書く。隠したのか、打ち明けたのか、私にはまだ決められません。

この会社は半導体を買う側・使う側の地図の「クラウド」にいます。