東京エレクトロン(8035)の7〜9月は中国向けが9四半期で最高の3,399億円。比率は36.4%に戻り、増えた売上の58%が中国だった。通期の営業利益予想は1兆1,690億円
過去の発表日は2026年10月30日。決算日の一覧
東京エレクトロン(8035)の決算を10月30日の前に読む。7〜9月の会社予想は売上8,877億円、同業のラムリサーチは最高益の翌日に11.8%下げたを書いたのが10月26日で、決算は予定どおり10月30日に出ました。発表の時刻は、前の記事に16時と書きましたが、会社のページは15時30分に変わっていました。取引時間は15時30分までなので、市場の反応は週明けの11月2日に出ます。
使うのは、今日出た決算短信、決算説明会資料、中間配当と自社株買いの2本の適時開示、IRカレンダー、株価の公開ページです。説明会の質疑応答集と書き起こしはまだ出ていないので、説明会の中身は読んでいません。決算短信は日本語版の添付資料の文字が私の環境で化けて読めず、添付の文章と財務諸表は同時に出た英語版で読みました。
速報が書くのは通期予想と自社株買いです。私が書くのは、中国向けの売上です。
前の記事で見ると書いた所
前の記事は見る所の節を作らず、見立てを数字で置きました。
- 7〜9月の売上高。見立ては9,050億円(8,800億〜9,300億円): 実績は9,350億円。会社予想の8,877億円を5.3%上回り、私の幅の上限も超えました。過去4回の上振れ幅は1.4〜5.3%で、今回はその一番上と同じです
- 営業利益。見立ては2,560億円(2,430億〜2,700億円): 実績は2,953億円。会社予想の2,466億円を19.7%上回りました。過去4回の5.2〜13.8%の外です。営業利益率は31.6%で、見立ての28.3%も外れました。「売上が2割伸びて利益率が下がる計画」と書きましたが、実績では売上が28%伸びて利益率が2.7ポイント上がっています
- 通期の会社予想。見立ては売上3兆5,000億〜3兆7,000億円、営業利益1兆〜1兆1,000億円: 会社は売上3兆7,000億円、営業利益1兆1,690億円を出しました。売上は幅の上限ちょうど、営業利益は上限を690億円超えています
- 株価。通期の営業利益予想が1兆円以上なら、11月2日の終値は10月30日の終値を上回る: 条件は満たしました。答えは月曜日に出ます。10月30日の終値は9,514円で、発表前の取引で前日から5.2%下げました。通期のEPS予想381.69円で割るとPERは24.9倍で、前の記事の31.7倍から下がりました
- 中国の比率。会社の通期の見方は「30%台前半」: 7〜9月は36.4%、上期では33.8%でした。通期の見方を変えたかどうかは、今日の資料に書いていません
- 値段の見直しの効果は1〜3月に見えてくる: 資料にありません。売上総利益率は47.8%で前の四半期から1.0ポイント上がりましたが、理由は書いていません
| 項目 | 会社予想 | 見立て | 実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,877億円 | 9,050億円 | 9,350億円 |
| 営業利益 | 2,466億円 | 2,560億円 | 2,953億円 |
| 営業利益率 | 27.8% | 28.3% | 31.6% |
今回の決算の数字
- 売上高: 9,350億円。前年同期比+48.4%、前の四半期から+27.7%
- 売上総利益率: 47.8%。前の四半期の46.8%から1.0ポイント上昇
- 営業利益: 2,953億円、営業利益率31.6%。前年同期の1,584億円から+86.4%
- 純利益: 2,125億円
- 上期の合計: 売上1兆6,674億円(+41.3%)、営業利益5,067億円(+67.2%)、純利益3,769億円。7月に出した上期予想に対して売上+2.9%、営業利益+10.6%。分割後の1株利益は166.13円
- 新規装置の売上: 7,344億円、前の四半期から+38%。フィールドソリューションは1,910億円
- キャッシュ: 7〜9月の営業キャッシュフロー3,511億円、フリーキャッシュフロー3,104億円。9月末の手元資金5,797億円
- 通期予想(初めて開示): 売上3兆7,000億円(+51.4%)、営業利益1兆1,690億円(+87.1%)、純利益8,650億円(+50.6%)。営業利益率31.6%
- 配当: 中間415円(分割前。7月の予想384円から増額)、期末108円(分割後、分割前なら540円)。年間は分割前で955円、前年の628円から+52%
- 自社株買い: 上限1,500億円、2,500万株(発行済みの1.1%)、11月1日から3月31日まで。今年度2回目
中国向けが3,399億円で、9四半期で最高
前の記事に「中国の比率は下がった」という節を作りました。4〜6月が30.4%、会社は通期を30%台前半と見ている、と。7〜9月は36.4%です。金額は3,399億円で、前の四半期の2,229億円から1,170億円増え、1年前の2,541億円から+33.8%。説明会資料に載っている2024年7〜9月からの9四半期で一番大きく、それまでの最高は2024年10〜12月の2,794億円でした。
売上は前の四半期から2,027億円増えました。地域別に分けると、中国が+1,170億円、韓国が+383億円、北米が+176億円、欧州が+175億円、東南アジア・その他が+103億円、日本が+76億円。台湾だけが57億円減っています。増えた分の58%が中国です。金額は中国3,399億円、韓国1,907億円、台湾1,804億円、北米766億円、日本722億円、欧州417億円、東南アジア・その他332億円でした。
前の記事では「中国の売上が減ったというより、台湾と韓国の売上が膨らんで比率が下がっている」と書きました。今回は向きが逆で、台湾が横ばいの間に中国が増えました。同じ7〜9月のラムリサーチの中国比率は35%だったので、東京エレクトロンはラムより上に出ています。
何を売ったのかは資料に無く、新規装置をアプリケーション別に見ると、7〜9月はDRAMが34%で前の四半期から+45%、不揮発性メモリが10%で+27%、非メモリが56%で+36%です。地域と用途の掛け合わせは開示していないので、中国向けの中身は説明会で聞かれるでしょう。
私が引っかかっているのは、前の記事の最後の一文です。「比率が30%まで下がった分、規制が増えたときの売上の目減りは2年前より小さい」と書きました。1四半期で6ポイント戻ったので、この文はもう使えません。会社が通期の見方を30%台前半に据え置いているなら、下期は上期の33.8%より低い比率を見ていることになりますが、今日の資料には通期の地域別の見方が無く、ここは質疑応答集を待ちます。
下期の予想は、四半期にならすと7〜9月から8.7%増
下期の予想は売上2兆325億円、営業利益6,622億円で、上期から売上+21.9%、営業利益+30.7%です。営業利益率は32.6%、売上総利益率は48.3%。前の記事で、ラムが売られたのは次の四半期の伸びが+4.6%に見えたからで、東京エレクトロンの下期が上期より2割伸びればラムと逆の材料になる、と書きました。+21.9%は、その条件に入っています。
ただし四半期にならすと見え方が変わります。下期の四半期平均は1兆163億円で、7〜9月の9,350億円からは+8.7%です。
営業利益率は上期30.4%、7〜9月31.6%、下期予想32.6%と階段になっていて、中期経営計画の35%まで2.4ポイントです。7月の質疑で会社は35%を「挑戦的」と言っていました。販管費は下期3,196億円で上期から363億円増え、研究開発費の通期計画は3,350億円で、7月の3,300億円から50億円増えています。
新規装置の下期の売上は1兆5,600億円で、内訳はDRAMが35%、不揮発性メモリが14%、非メモリが51%です。上期は33%、10%、57%でした。メモリの比率が43%から49%に上がります。市場の見方も上がっていて、WFE市場は2026年が1,600億ドル程度、2027年が2,100億ドル以上。7月の「1,500億ドル以上」「1,900億ドル以上」から、それぞれ100億ドルと200億ドル上がりました。
前受金が844億円増え、設備投資は計画の4割弱
貸借対照表で一番動いたのが前受金です。3月末の2,705億円から9月末は3,549億円で、844億円増えました。顧客が装置の納入前に払った分で、キャッシュフロー計算書でも前受金の増加が829億円、上期の営業キャッシュフロー4,699億円を押し上げています。7〜9月だけの営業キャッシュフローは3,511億円で、説明会資料に載っている9四半期で最高です。売上債権も932億円増えていて(5,259億円から6,191億円)、棚卸資産は343億円の増加にとどまりました。
一方で設備投資は、7〜9月が323億円で前年同期から64.5%減、上期で723億円です。通期の計画1,900億円は据え置きなので、下期に1,177億円を使う計画になります。宮城の生産革新センターの竣工予定は2027年夏のまま。上期に自社株買いで1,500億円、配当で1,660億円を払い、それでも手元資金は3月末から735億円増えて5,797億円です。
特別損失には熊本地震の災害損失62億円が出ています。建物と設備の復旧と棚卸資産の廃棄の費用です。
次の決算で見る所
10〜12月期の発表は2027年2月5日の予定です。
- 中国の比率。下期の会社の見方と、質疑応答集に出る7〜9月の中身
- 10〜12月の売上が1兆円を超えるか。下期の四半期平均は1兆163億円
- 営業利益率。下期予想の32.6%に対して、10〜12月が何%で出るか
- 前受金。3,549億円からさらに増えるか、納入が進んで減るか
- 設備投資。下期に1,177億円の計画で、10〜12月に何割使うか
- 11月2日の終値。前の記事の見立ての答え
説明会で分かったこと(10月31日に追記)
会社が10月30日の夜に出した説明会のトランスクリプト(22ページ)を読みました。中身は川本CFOの決算の説明と河合CEOの事業環境と業績予想の説明で、質疑応答は入っていません。質疑応答集は10月31日の時点でまだ出ていないので、アナリストが何を聞いたかは分かりません。
中国向けについて会社が言ったのは2つです。川本CFOは、7〜9月の比率が6ポイント上がって36.4%になった理由を「大手顧客の投資が活況だったため」と説明しました。何を売ったのか、DRAMなのか非メモリなのかは言っていません。もう1つは通期の見方で、7月に言った「中国向けの比率は30%台前半」を据え置きました。上期の中国向けは5,628億円なので、通期を30〜34%で置くと下期の中国向けは5,470億〜6,950億円、比率は27〜34%です。7〜9月の36.4%からは下がる計算になります。
売上総利益率が1.0ポイント上がった理由は、川本CFOが「売上の増加で固定費の比率が下がったため」と言いました。前の記事で見るとした値段の見直しの効果には触れていません。前受金が844億円増えた理由も説明していません。CFOが貸借対照表で言ったのは、負債が1,703億円増えたのは業績に連動した未払法人税等と賞与の引当の増加、棚卸資産は40億円減って回転日数が改善、投資その他の資産が444億円減ったのは投資有価証券の時価評価、の3つです。
河合CEOの話で新しいのは顧客の動きです。AIサーバー向けの需要を背景に、顧客からの納期の前倒しや追加購入の要請が続いていると言い、下期の売上2兆円超に対する生産能力は確保できていると言いました。WFE市場は2026年が1,600億ドル程度、2027年が2,100億ドル以上で、両年とも前年比30%程度の成長を見ています。
製品の話では、DRAMのキャパシタのマスク工程でPOR(顧客の量産工程への採用)を1社から取り、コンダクタエッチングでは初めてのDRAMの工程だと言いました。NANDのチャネルホール向けの極低温エッチング装置は量産の受注が進み、2027年と2028年に向けた追加の引き合いが多数あるとのことです。先端パッケージング向けのHigh-kのバッチALDは今期と来期とも200台以上の出荷を見込み、プローバは今期の出荷台数が前年比約60%増の見込みです。7月に地震があった熊本の塗布現像装置と洗浄装置の事業部は、上期の売上が前の下期から50%超増えました。設備投資の通期計画1,900億円と宮城生産革新センターの2027年夏の竣工は据え置きで、建設は計画どおりと言いました。
残ったのは、中国向けの中身、前受金が増えた理由、値段の見直しの効果の3つです。質疑応答集が出たら、そこを読みます。
使った資料
- 東京エレクトロン、2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信(2026年10月30日、PDF)
- 同、決算短信 英語版(PDF)
- 同、決算説明会資料(PDF)
- 剰余金の配当(2027年3月期中間配当)に関するお知らせ(2026年10月30日、PDF)
- 自己株式の取得枠設定に関するお知らせ(2026年10月30日、PDF)
- 東京エレクトロン、2027年3月期第2四半期決算発表の時刻
- 東京エレクトロン、IRカレンダー
- 東京エレクトロンの日足(Yahoo Finance、チャートAPI)
- 東京エレクトロン、2027年3月期 第2四半期 決算説明会 トランスクリプト(2026年10月30日、PDF)
- 東京エレクトロン、決算短信・決算説明会資料(IR資料室。10月31日時点で第2四半期の質疑応答集は未掲載)
株価は書いた日のものです。中国が戻ったのか、台湾が一息ついただけなのか。質疑応答集が出たら、最初にそこを読みます。
この会社は半導体の地図の「製造装置」にいます。