杜松(トショウ)の年間管理
2026年7月13日
杜松で覚えることは3つです。
新芽にハサミを入れない。 針状の葉は切ると断面が茶色く残り、そこから枯れ込みます。新芽の整理は指で摘みます。摘む期間は4月から10月まで、伸びたら随時。黒松のように年に一度の作業ではありません。
葉の無い所まで切り戻さない。 杜松は古い枝から芽を吹く力が弱く、葉を残さずに切ると、その枝はそのまま枯れます。切るときは必ず葉を残した位置まで。
日と風。 岩場の樹なので終日の日照が要り、日照が足りないと内側から枯れ込みます。乾燥には強い一方で、乾かしすぎるとハダニが付きます。
作業ごとに、いつ/する・しない/どうやる、の順で書きます。水やりと施肥、病害虫も同じ形で、いつの欄が通年になるだけです。時期は関東平野部の目安です。
どんな樹か
| 項目 | |
|---|---|
| 学名 | Juniperus rigida |
| 科 | ヒノキ科ビャクシン属 |
| 和名 | ネズミサシ(鼠刺) |
| 原産 | 日本(本州〜九州の痩せ地、岩場) |
| 葉 | 針状。3本輪生で、先が尖って刺さる |
同じビャクシン属の真柏(シンパク)とよく並べられますが、別の樹です。真柏の葉は鱗のように寝ていて、杜松の葉は針のように開いています。 触れば分かります。和名は鼠を刺すほど痛いところから来ています。
痩せた岩場に自生し、幹が捻れ、枯れて白骨化した部分(ジン・シャリ)を残した姿になります。この荒さが杜松の見どころで、山採りの木はそれを活かして作られます。
一年の流れ
| 作業 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水やり | △ | △ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | △ |
| 施肥 | ─ | ─ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | △ | △ | ◎ | ○ | ─ | ─ |
| 芽摘み | ─ | ─ | ─ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ─ | ─ |
| 古葉の掃除 | ○ | ○ | △ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
| 針金かけ | ○ | ○ | ○ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
| 剪定(太枝) | ○ | ◎ | ◎ | △ | △ | ✕ | ✕ | ✕ | △ | ○ | ○ | ○ |
| ジン・シャリの手入れ | ◎ | ◎ | ○ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ○ | ○ | ◎ |
| 植え替え | ✕ | ✕ | ◎ | ◎ | △ | ✕ | ✕ | ✕ | ○ | ○ | ✕ | ✕ |
記号:◎ 最適期/○ 適期/△ 控えめ/✕ やると害になる/─ 対象外
松と違って、芽摘みが春から秋まで続きます。伸びたら摘む、の繰り返しです。
作業
植え替え
- いつ 3月から4月中旬。秋の9月から10月でもできる。2〜3年に一度。
- する・しない 春が本命。真夏と真冬はしない。弱っている木は見送る。
- どうやる 根鉢を外から1/3ほどほぐし、古い根を整理する。用土は赤玉土主体に砂を混ぜて水はけを効かせる。過湿に弱いので鉢底の通気を確保する。植え替え後は2週間ほど明るい日陰で養生する。
芽摘み
- いつ 4月から10月、伸びてきたら随時。最盛期は5月から6月と9月。
- する・しない 杜松の作りはこの繰り返し。放っておくと徒長し、内側の葉が枯れて枝先だけの姿になる。弱っている木は摘まずに伸ばして力を付ける。
- どうやる 指で摘む。ハサミは使わない。 伸びた新梢の柔らかい先を、指先でつまんで引き抜くように取る。ハサミで切ると断面が茶色く残り、枯れ込むことがある。手袋をすると感覚が鈍るので、指先の出る手袋か素手で。
古葉の掃除
- いつ 9月から3月。
- する・しない 毎年する。枝の内側に茶色くなった古葉と枯れ枝が溜まり、そこが蒸れて枯れ込みの起点になる。
- どうやる ピンセットか指で、枯れた古葉と枯れ枝を抜く。刺さるので手袋が要る。内側に日と風が通れば十分で、緑の葉まで抜かない。
針金かけ
- いつ 10月から3月が無難。生育期もかけられるが、伸びが早いぶん食い込みも早い。
- する・しない 枝が硬く、曲げすぎると折れる。太い枝を大きく曲げるなら、ラフィアや麻ひもを巻いて保護してから。ジン・シャリの白い部分に針金を当てると跡が目立つ。
- どうやる 枝の太さの1/3ほどの番手を45度で巻く。半年に一度は点検する。
剪定(太枝・不要枝)
- いつ 2月から3月が最適。秋にもできる。
- する・しない 真夏はしない。葉の無い所まで切り戻さない。 杜松は古い枝から芽を吹く力が弱く、葉を残さずに切った枝はそのまま枯れる。「短く詰めれば下から吹く」は松や雑木の話で、杜松には当てはまらない。
- どうやる 輪郭から飛び出す枝、重なり枝、忌み枝を元から抜く。切り詰めるときは必ず葉を残した位置で切る。
ジン・シャリの手入れ
- いつ 12月から3月。
- する・しない 枯れた部分がある木だけ。生きている樹皮を剥いで新しく作るのは、樹勢の乗った木に限る。
- どうやる 白骨化した部分の汚れとコケを歯ブラシで落とし、石灰硫黄合剤を筆で塗る。白さが戻り、防腐になる。生きている部分と鉢土にかからないように紙で養生してから塗る。臭いが強いので屋外で。
水やり
- いつ 通年。春秋は1日1回、真夏は朝夕2回、冬は3〜5日に1回。生育期はよく吸う。
- する・しない 乾燥に強い樹だが、乾かしすぎるとハダニが出る。 夏は葉水を併せる。日照が足りないと葉色が悪くなり、内側から枯れ込む。
- どうやる 表土が乾いてから、鉢底から流れ出るまで。置き場所は終日日の当たる、風の通る棚の上。
施肥
- いつ 4月から6月と、9月から10月。真夏は控える。
- する・しない 松より効かせて大丈夫。肥料で葉が極端に伸びる樹ではない。ただし痩せ地の樹なので、効かせすぎると間延びして詰まった姿から離れる。
- どうやる 有機性の置肥を月に1回取り替える。
病害虫
- いつ ハダニは乾燥した夏。赤星病は春。
- する・しない ビャクシン属は赤星病の中間宿主。枝に寒天状のオレンジ色の塊が出たら、その胞子がナシやリンゴ、ボケなどバラ科に飛ぶ。近くにバラ科の果樹があるなら、見つけ次第その枝を切る。果樹園の近くに置かない判断もある。
- どうやる ハダニは葉水と風通しで予防する。出たら葉がくすんで色が抜けるので、そこで気づく。