GMOペイメントゲートウェイ(3769)の決算を11月13日の前に読む。大口の加盟店が抜けて処理件数は2.2%減ったのに、営業利益は24.2%増えた。ビザと同じ10〜9月の決算期で比べる

次の決算は2026年11月13日の予定です(確定)。決算日の一覧


所長の投資信託に入っているビザは、カードのブランドとネットワークの会社です。お店でカードを出すと、そのお店とカード会社の間には、もう1つ別の会社が入っていることがあります。お店の代わりにカードや電子マネー、コンビニ払いをまとめて受け付ける決済代行の会社で、日本で大きいのがGMOペイメントゲートウェイ(以下GMO-PG)です。同じ決済の、別の場所で稼いでいる会社です。

ビザの7〜9月の決算は、日本時間の今朝に出ました(ビザの記事)。GMO-PGの決算期はビザと同じ10月〜9月で、2026年9月期の通期の決算は11月13日に出ます。決算期がそろっているので、同じ期間で2社を比べられます。

使ったのは、GMO-PGの2026年9月期第3四半期の決算短信と説明資料とデータブック、有価証券報告書、説明会の書き起こし、ビザの決算発表と10-Q、それと株価と信用残の公開ページです。株価は10月28日(水)の終値で書きます。

どんな会社か

事業は3つです。売上の74.3%を占める決済代行事業は、ネットのお店や実店舗に、クレジットカードのほかコンビニ収納、電子マネー、QRコード決済、Pay-easy、代引、口座振替、PayPal、キャリア決済などをまとめて提供します。金融関連事業は、お店への早期入金、トランザクションレンディング、海外のFinTech事業者向けの貸付、送金、後払いなど。決済活性化事業は小さく、売上は14億円です。

売上の取り方は4種類あります。

種類 何の代金か 2025年10月〜26年6月 前年同期比
イニシャル 初期の導入費用 85億円 +19.3%
ストック 月額の固定費 117億円 +15.4%
フィー 処理件数に応じた料金 197億円 +6.9%
スプレッド 売上代金に対する手数料 298億円 +17.8%

いちばん大きいのはスプレッドで、売上の42.8%です。お店の売上代金をGMO-PGがまとめて受け取ってお店に入金する契約(代表加盟店契約)のときに、その代金に対して取る手数料です。ネット決済の処理金額のうち、この契約の分は約55%あります。

親会社はGMOインターネットグループで、株の40.72%を持っています。加盟店は約16万の事業者で、2025年9月期の売上の97.5%が日本です。

ビザとどこが違うか

ビザは、ビザのブランドのカードが使われた分だけを数えます。GMO-PGの処理額には、ビザもマスターカードもJCBも、コンビニ払いや電子マネーも入ります。GMO-PGの資料には、処理額のうちビザの分がいくらかは書かれていません。

カードで払うとき、間に入る会社GMO-PGはお店の側、ビザはカード会社をつなぐネットワークの側で稼ぐ支払いまとめて受け付け取り次ぎビザのカードの分お客さんお店約16万の加盟店GMO-PG決済代行カード会社などコンビニ・電子マネーもビザブランドとネットワーク初期費用・月額・件数・手数料で稼ぐ営業利益率 41.8%決済額と件数に応じた手数料で稼ぐ営業利益率 61.7%出所: GMOペイメントゲートウェイ 有価証券報告書、ビザ 決算発表

規模を並べます。直近12か月のGMO-PGの処理額は23.7兆円。同じ12か月のビザの決済額は15兆3,370億ドルで、1ドル154.42円で円にすると約2,368兆円です。GMO-PGはビザの世界の決済額の約1.0%を扱っている計算です。件数で見ると、ビザが4〜6月に処理した取引は717億件で、GMO-PGの22.2億件の約32倍。ただし数え方が違い、GMO-PGのネット決済は1回の決済を1〜3件と数えます。

稼ぐ力の差ははっきりしています。

期間 ビザ GMO-PG
2025年10月〜26年6月 61.7% 41.8%
2025年9月期(通期) 60.0% 38.0%
2026年9月期(通期) 61.2% 40.4%(会社予想)

営業利益率です。ビザは2026年9月期の通期が今朝出て、61.2%でした。GMO-PGとは約20ポイントの差があります。ビザはネットワークを持っているだけで、お店とのやり取りは銀行や決済代行の会社がします。GMO-PGは、お店ごとの導入、入金、問い合わせを自分で引き受ける側です。

ビザの7〜9月は、純収益が121億ドルで前年同期比13%増、決済額が為替一定で9%増、処理した取引は742億件で10%増でした。

2025年10月〜2026年6月の数字

  • 売上収益: 697億円。前年同期比+14.3%
  • 営業利益: 291億円。前年同期比+24.2%、営業利益率41.8%(前年同期は38.4%)
  • 4〜6月だけ: 売上収益236億円(+16.8%)、営業利益103億円(+26.9%)、営業利益率43.6%
  • 決済処理金額: 前年同期比+7.3%。件数は-2.2%
  • 決済代行事業: 売上518億円(+13.7%)、セグメント利益261億円(+17.8%)、利益率50.4%
  • 金融関連事業: 売上167億円(+17.6%)、セグメント利益58億円(+40.5%)

通期の会社予想は売上収益932億円(+13.0%)、営業利益376億円(+20.1%)で、期初の2025年11月から修正していません。9か月で営業利益の77.3%まで来ています。

件数が減って、利益が増えた

前の期に、大口の加盟店が自前で決済を処理するように切り替えました。会社の資料は名前を出さず「特定加盟店の内製化」と書いています。フィスコの記事では、前の期の7〜9月に起きた大型加盟店の離脱とされています。

その影響が数字に出ています。4〜6月のネット決済は、件数が約17.5億件で-9.6%、金額が約3.4兆円で+1.4%。ほぼ横ばいです。一方で対面の決済は、件数が約4.6億件で+26.3%、金額が約2.6兆円で+19.0%伸びました。直近12か月では、ネットが13.6兆円で+0.2%、対面が10.0兆円で+22.0%です。

ネットは横ばい、対面が伸びた2026年4〜6月の前年同期比。ネット決済は大口の加盟店が抜けた影響を含む件数金額ネット決済-9.6%+1.4%対面決済+26.3%+19%出所: GMOペイメントゲートウェイ 決算説明資料(2026年8月)

会社は、この加盟店の影響を除いた数字も出しています。2025年10月〜2026年6月の処理金額は、影響込みで+7.3%、除くと+16.2%。4〜6月だけなら除いて+18.0%です。件数に応じた料金のフィー売上も、影響込みの+6.9%に対して、除くと+17.7%でした。

それでも営業利益は+24.2%で、利益率は38.4%から41.8%に上がりました。抜けたのは件数の多い大口で、件数に応じたフィーが減った一方、手数料のスプレッドは+17.8%、金融関連の利益は+40.5%伸びています。大口が抜けても利益が増えたのは、残った売上のほうが利益率が高かったからだと読めます。

7〜9月で、抜けてから1年がたつ

大口が抜けたのは前の期の7〜9月でした。今度の7〜9月は、その抜けた後の数字と比べることになります。前年同期比の伸びから、大口の影響がほぼ消える最初の四半期です。

ところが会社の予想は控えめです。通期予想から9か月の実績を引くと、7〜9月は売上収益235億円、営業利益85億円。営業利益は前年同期比+8.0%で、利益率は36.3%です。4〜6月の+26.9%、43.6%から大きく落ちる計算になります。予想を期初から動かしていないので、この落ち方は意図した数字ではなく、修正しなかった結果の数字だと見ています。

中期の目標

会社は、2030年9月期か2031年9月期に営業利益1,000億円という目標を出しています。説明会では、どちらかといえば2031年だと答えました。届くには営業利益を年22%以上伸ばす必要がある、と会社自身が言っています。

途中の目安も出ています。

期 処理額 シェア 営業利益率
2026年9月期 25兆円 16% 40%
2027年9月期 30兆円 18% 40%
2028年9月期 35兆円 20% 41%

2025年のキャッシュレス決済額は162兆円(経済産業省)で、GMO-PGのシェアは15.5%でした。

株価と需給

株価は10月28日の終値で8,560円です。時価総額は約6,500億円。8月12日に日中の高値10,455円を付け、そこから18.1%下にいます。

10月26日(月)には8,176円まで-6.29%下げました。親会社のグループの「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスが報じられ、GMOのグループ株が総じて売られた日です。GMO-PGは同じ日に、自社のサービスへの影響は現時点で確認されていないと公表しています。27日は+1.70%、28日は+2.95%と戻しています。

過去4回の決算の翌営業日は、2025年11月が+16.7%、2026年2月が-13.6%、5月が+20.6%、8月が-13.2%。上げても下げても1割を超えています。8月は営業利益が計画以上で前年同期比+26.9%だったのに、-13.2%でした。

信用取引の買い残は10月23日時点で73,700株、倍率4.26倍(株探)です。10月2日の130,900株から3週間で減っていて、発行済み株式の0.10%しかありません。需給で株価が振られる量ではありません。みんかぶに出ているアナリストの平均目標株価は10,385円です。

7〜9月の見立て

決算は11月13日(金)15時31分、取引が終わった後の発表です。会社のIRカレンダーで確かめました。

項目 会社予想(逆算) 私の見立て
売上収益 235億円 245億〜255億円
営業利益 85億円 95億〜105億円
営業利益率 36.3% 40%前後

中心は売上収益251億円、営業利益100億円です。

四半期の営業利益と、7〜9月の会社予想・見立て単位は億円。2025年9月期と2026年9月期。点線は予想72.524年10〜12月80.625年1〜3月81.34〜6月797〜9月85.625年10〜12月10226年1〜3月1034〜6月85.37〜9月会社予想1007〜9月見立て出所: GMOペイメントゲートウェイ データブック、決算短信

組み立ては単純です。前の期の7〜9月は、4〜6月に比べて売上収益が1.062倍、営業利益が0.971倍でした。大口が抜けた四半期でもこの比です。今期の4〜6月の売上236.4億円と営業利益103.2億円に同じ比を掛けると、7〜9月は251億円と100億円になります。今期は大口の影響が一巡するので、この比より悪くなる理由は資料に見当たりません。

見立てどおりなら、通期は売上収益948億円、営業利益391億円、営業利益率41.3%で、会社予想の営業利益376億円を約4.0%上回ります。

株価の見立ては、11月16日(月)の終値が11月13日(金)の終値を上回る、です。11月13日は通期の決算と同時に、2027年9月期の予想が出ます。条件は、その営業利益の予想が今期の実績の1.22倍以上であること。1,000億円の目標に必要な年22%に乗っていれば上がり、下回れば下げると見ます。今期が391億円なら、1.22倍は477億円です。8月の決算は計画以上でも-13.2%でした。数字の良し悪しより、目標への道筋で値段が付く会社だと見ています。外れたら外れたと次の記事に書きます。

気になっていること

1つは親会社の不正アクセスです。GMO-PGは影響を確認していないとしていますが、決済の会社にとって、グループの名前で受ける疑いは本業の数字より先に効きます。決算の場で何が説明されるかを見ます。

もう1つは、ネット決済の伸びです。直近12か月で+0.2%。大口の影響を除けば伸びているとはいえ、伸びの中心は対面と金融関連に移っています。ビザの決済額が+9%で伸び続けている中で、GMO-PGのネットの金額がどこまで戻るかが、7〜9月で初めて影響の少ない数字として出ます。

使った資料

この会社はお金の地図の「決済の取次」にいます。