フジクラ(5803)の決算を11月10日の前に読む。ハイパースケーラー4社の設備投資とフジクラの情報通信の売上は、同じ3か月でどちらも約1.85倍になった

次の決算は2026年11月10日の予定です(確定)。決算日の一覧


組入銘柄とつながる日本株の7本目は、フジクラです。電線と光ファイバの会社で、今はデータセンター向けの光の配線で稼いでいます。

これまでの記事と違って、フジクラと組入銘柄の間には、資料で名指しされた関係がありません。フジクラの有価証券報告書は、北米を中心としたハイパースケールデータセンター向けの需要が伸びると書いていますが、顧客の名前は出しません。売上の10%を超える顧客もいません。保有投信に入っているマイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタの資料にも、フジクラの名前は出てきません。

なので、この記事は「同じ需要を、両側から見る」形にします。4社がデータセンターにいくら使っているかと、フジクラの売上がどれだけ伸びたかを並べます。フジクラが4社に売っているとは書きません。

使ったのは、フジクラの決算短信・決算説明資料・質疑の要旨・業績予想の修正・投資の適時開示、有価証券報告書、4社がSECに出した決算資料と10-Q、決算説明会の書き起こし、それと株価と信用残の公開ページです。株価は10月26日(月)の終値で書きます。

どんな会社か

事業は情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、不動産の5つです。2026年4〜6月の売上は4,020億円で前年同期比+50.1%、営業利益は1,048億円で+155.1%。そのうち情報通信が売上2,644億円、営業利益980億円で、営業利益の9割以上を稼いでいます。情報通信の営業利益率は37.0%でした。

情報通信の中身は、光ファイバと光ケーブル、データセンターの中の配線に使うコネクタ付きケーブルやパッチパネルなどの光コンポーネント、データセンター向けのエンジニアリングです。会社は、以前はデータセンター向けとインフラ向けが半々だったが、今はデータセンター向けの比率が高まっていると説明しています。2025年度には、1本に13,824心の光ファイバを入れたケーブルを世界で初めてハイパースケールデータセンター向けに売り出しました。

同じ3か月で、どちらも約1.85倍

同じ3か月で、どちらも約1.85倍2025年4〜6月を100。4社はマイクロソフト・アルファベット・アマゾン・メタ(リース除く)2025年4〜6月=1002026年4〜6月4社の設備投資882億ドル1,651億ドル(187)フジクラ 情報通信の売上1,438億円2,644億円(184)出所: 各社の決算資料・10-Q、フジクラ 決算説明資料

4社の2026年4〜6月の設備投資は、現金で払った分の合計で1,651億ドル、前年同期の882億ドルから+87%でした。同じ4〜6月のフジクラの情報通信の売上は2,644億円で、前年同期の1,438億円から+83.9%。並べると、伸び方がほとんど同じです。

4社の今年の見通しも大きいままです。アルファベットは2026年の設備投資の見通しを1,950億〜2,050億ドルに上げました。メタは1,350億〜1,450億ドルで、下限を上げています。マイクロソフトは7〜9月の設備投資を500億ドル超と見込んでいます。アマゾンは2025年の株主への手紙で、2026年に約2,000億ドルを使うと書いていました。

ただし、伸びの大きな部分は米国の外だった

情報通信の売上の地域顧客の所在地。アジアは日本を除く2025年4〜6月2026年4〜6月北米1,097億円1,564億円(+42.6%)アジア(日本除く)105億円680億円(約6.5倍)出所: フジクラ 2026年度 第1四半期 決算短信

ここからが、並べるだけでは見えない所です。情報通信の売上を顧客の所在地で分けると、4〜6月の北米向けは1,564億円で前年同期比+42.6%。アジア(日本を除く)向けは680億円で、前年同期の105億円から約6.5倍になりました。情報通信の売上に占める北米の比率は、76.3%から59.2%に下がっています。

会社は8月に通期の予想を上げた理由を、米国以外の地域で光コンポーネントの新規の大型案件を突発的に受注したためと説明しています。その案件がアジアの会社なのか、米国のハイパースケーラーのアジアでの案件なのかは、質疑で聞かれても、顧客名や地域は営業上の機密なので答えられないとしています。そして、現時点で下期に確実な受注を見込む新規の大型案件は無い、とも答えています。

もう1つ、伸びには値段も入っています。4〜6月の営業利益の増加のうち、値上げと品種の構成の改善で234億円。一部の顧客には約25%の値上げを受け入れてもらったそうです。光ファイバの価格は世界的に上がり続けていて、需給がゆるんだ感じはないと会社は話しています。

予想は2回上がった

会社は今年度の予想を2回上げました。5月の期初は営業利益2,110億円、6月に3,100億円、8月に4,320億円です。6月の修正の理由には「ハイパースケーラーからの光コンポーネント製品のプロジェクト受注」と書かれていて、会社自身がハイパースケーラーという言葉を使ったのはここだけでした。

4,320億円は、2028年度を最終年度とする中期経営計画の営業利益の目標3,150億円を、2年早く1,170億円上回る数字です。会社は中期経営計画を見直すことは今は考えていないとしています。

生産能力も増やしています。2026年3月に、日米で合わせて最大3,000億円を使い、光ファイバと光ケーブルの能力を最大3倍にする方針を決めました。最初の佐倉の新工場(約400億円)の稼働は2030年12月の予定です。

株価と需給

株価は10月26日の終値で3,978円です。5月14日に日中の高値7,933円を付け、そこから49.9%下。年初からは+36.9%です。4月1日に1株を6株に分けていて、株価は分割を調整した値で書きます。

株価と移動平均線(この1年)2025年10月27日〜2026年10月26日の終値(円)。4月の1株→6株の分割は調整済み2,0004,0006,0008,00026年1月26年4月26年7月26年10月10月26日 3,978円終値25日線75日線200日線出所: Yahoo Finance の日足から作成

10月26日の終値は、25日線(4,924円)、75日線(4,985円)、200日線(4,732円)のすべての下です。

高値の5月14日は、期初の予想を出した決算の日でした。前日の7,855円から1,500円下げて6,355円で終わり、その日の値幅の制限いっぱいまで下げています。翌日も8.43%下げました。8月7日の2回目の上方修正の日は+12.82%、翌営業日も+7.62%でした。10月15日には、前日の米国の半導体株安とコアウィーブの社債の急落を受けて12.69%下げています。

信用取引の買い残は10月23日時点で2,345万9,400株、売り残は77万7,800株で、倍率は30.16倍(株探)。10月9日は11.82倍でした。2週間で倍率が上がり、買い残は発行済み株式の1.32%です。

7〜9月の見立て

決算は11月10日(火)14時、東証の取引時間中の発表です。会社のIRカレンダーで確かめました。過去の決算もすべて14時でした。株価の反応はその日のうちに出始めます。

項目 会社予想(逆算) 私の見立て
売上高 4,190億円 4,100億〜4,500億円
営業利益 932億円 900億〜1,100億円
情報通信の営業利益 857億円 850億〜1,000億円

中心は売上4,300億円、営業利益1,000億円です。

組み立ては3段です。

  1. 4〜6月並みに近いと見ます。会社予想の7〜9月は営業利益932億円で、4〜6月の1,048億円より少し低い。4〜6月に突発的に入った大型案件が、会社の言うとおり今年度中は続くなら、7〜9月も大きくは落ちないと思います
  2. 値上げは続きます。光ファイバの値段が上がり続けていて、会社は需給がゆるんでいないと話しています
  3. 為替は会社の前提とほぼ同じです。7〜9月以降の前提は1ドル160円で、7〜9月のドル円は、Yahoo!ファイナンスの日々の終値の平均で159.33円でした

株価の見立ては、11月10日の終値が11月9日の終値を上回る、です。条件は、通期の営業利益の予想4,320億円がもう一度上がること。下期の大型案件が見えないまま据え置きなら、5月と同じように下げると見ます。信用倍率30倍の買い残は、上げたところで売りに回ると思います。外れたら外れたと次の記事に書きます。

気になっていること

4社の設備投資とフジクラの売上が同じように伸びた、というのは並べた結果で、つながりの証拠ではありません。むしろ、伸びの大きな部分が米国の外の、名前の出ない大型案件だったことのほうが気になります。下期に確実な大型案件は無い、と会社自身が言っています。ハイパースケーラー4社の7〜9月の決算は、アルファベットとマイクロソフトが日本時間10月29日の朝、アマゾンが10月30日の朝に出ます。4社の設備投資の見通しが上がっても、それがフジクラの数字に入るかどうかは、11月10日にならないと分かりません。

使った資料

この会社は半導体を買う側・使う側の地図の「データセンターの設備」にいます。