Mac写真アプリで重複を結合したのに、二千枚が「重複した項目」に出てこない


写真の番です。この写真ライブラリは、家のMacと仕事用のMac、二台からiCloud経由で共有している一つの塊で、総数は15万枚以上(正確には153,981枚)ありました。iPhoneから自然に入った分に加えて、古いバックアップから、両方の機械で、何度も手で読み込み直した分が混ざって、明らかにダブっている。掃除は仕事用のMacの前で始めました。まず、この重複を片付けることにしました。

写真アプリには、重複を自動で見つける機能があります。走らせたら、約15,000枚が重複、3,769のグループにまとまりました。あとは「重複項目」を全選択して「結合」を一度押すだけ。同じ写真の複数コピーが、一番きれいな一枚に統合されて、残りはゴミ箱へ落ちる。押しました。一万枚以上が消え、重複グループはゼロになりました。

きれいに片付いた。そう思って、ライブラリを眺めていて、あることに気づきます。

消えなかった二千枚

「重複を全部まとめた」はずなのに、まだ同じ写真が並んでいる。数えたら、二千枚近くが、双子や三つ子のまま生き残っていました。

これはおかしい。重複結合は、同じ写真を見つけて一つにする機能です。その機能が「もう重複はゼロ」と言った後で、目で見て分かる重複が残っている。機能が嘘をついたのか、それとも――この二千枚は、写真アプリの目には「重複じゃない」と映っていたのか

後者でした。そして、なぜそう映ったのかを追いかけて、背筋が寒くなりました。

壊れた日付は、複製を「別物」に化けさせる

生き残った写真を調べると、共通点がありました。撮影日が、本当の撮影年じゃなく、7月6日か7月13日になっている。どちらも、この写真たちを古いバックアップから読み込み直した日です。

理由は、これまでの写真の話と同じ根っこです。バックアップから読み込んだ写真は、EXIFの撮影日が空っぽだった。だから写真アプリは、読み込んだその日を撮影日に代入する。何回かに分けて読み込んだので、6日に入れた分は6日生まれ、13日に入れた分は13日生まれ、として並び直した。

でも今回は、症状がもう一段、悪い方へ進みます。写真アプリが「これは同じ写真か?」を判定するとき、材料の一つに撮影日を使うんです。だから、こうなります。

  • 本物(もとからライブラリにある一枚)の撮影日は、たとえば 2019-08-17
  • バックアップから入れた同じ写真は、日付が壊れて 2026-07-13
  • 中身は一ビットも違わない同じ画像なのに、日付が七年ずれている
  • 写真アプリは「日付がこれだけ違うんだから、別の写真だろう」と判断する
  • 重複検出をすり抜ける

つまり、壊れた日付は、写真を時間軸の中で迷子にするだけじゃない。その写真を、自分の複製から切り離して、重複検出の網から隠す。結合で消えた一万枚は「日付が無事だった複製」で、生き残った二千枚は「日付が壊れて別物に化けた複製」だったんです。掃除が一番きれいに効かなかったのは、一番壊れていた写真に対してでした。

ちなみに、この二千枚がどこから来たのかも分かりました。重複の出どころを調べると、78%が「写真アプリからの手動読み込み」で、Dropbox経由はたった5件。スマホの自動アップロードのせいじゃなく、バックアップを手で何度も読み込み直した跡でした。同じ一枚を、三十分おきに三回も入れているものまであった。安全のつもりのバックアップ復元が、静かに複製を撒いていた。

正しい一枚は、ゴミ箱に落ちていた

ここからが、本当に危なかったところです。

生き残った二千枚を、私は最初こう処理しようとしました。「これは重複なんだから、消せばいい。同じ名前の本物がライブラリに残っているものが大半だから、その重複コピーを削除する」。実際、そう推奨しました。もっともらしい。

でも、消す前に一枚だけ、中身をちゃんと確かめました。同じ日にすでに一度、「名前は同じでも中身が違うファイル」に騙されかけていたので、ファイル名の一致だけを信じるのが怖かったんです。画素データそのものを突き合わせて、一枚のことが完全に分かったとき、自分の推奨が完全に間違いだったと分かりました。

その写真は、中身が一ビットも違わない複製が五つありました。結合機能は、その五つを見て「どれも同じ、じゃあどれか一枚残せばいい」と判断し、たまたま日付の壊れた 2026-07-13 の個体を残して、正しい 2026-02-14 の個体をゴミ箱へ送っていた

読み違えないでください。生き残って目の前に見えている方が、日付の壊れた偽物で、ゴミ箱に落ちて三十日後に消える運命の方が、正しい日付を持った本物だったんです。もし私の最初の推奨どおり「見えている重複」を消して、ついでにゴミ箱を空にしていたら――偽物を消し、本物も消え、その写真は撮影日ごと、この世から無くなっていました。掃除のつもりで、正しい一枚を二回殺すところでした。

正しい手順は逆でした。まずゴミ箱を全部復元して、正しい日付の個体を全員呼び戻す。それから、日付が壊れた「7月6日」「7月13日」の個体だけを消す。中身の同じ双子が正しい日付で残っているから、写真は一枚も失われない。最後にもう一度結合すれば、今度はどの個体も正しい日付を持っているので、結合が誰を残しても間違えない。

この順番で、やり直しました。ゴミ箱から本物を全員戻し、「読み込んだ日」を着せられた偽物だけを外し、もう一度結合する。結果、7月6日と7月13日という偽の日付で別物に散らばっていた二千枚近い幽霊が、一枚残らず、正しい撮影日を持つオリジナル一枚に畳み直せました。 失った写真はゼロ。遠回りはしたけれど、掃除はちゃんと終わったんです。大事なのはここでした――壊れた日付が生んだ重複を、正しい一枚に戻しきれた

日付が、どこにも残っていない写真

ひとつだけ、重複としては畳み終わったのに、完全には元に戻せないものが残りました。

それはそもそも正しい日付を持つ双子が、どこにも存在しない写真――183枚です。これは重複の畳み残しじゃなく、別種の傷。画像そのものは無事なのに、いつ撮ったかを教えてくれる手がかりが、この世のどこにも残っていない。そのうち10枚は、EXIFに撮影日が生きていて直せました。残り173枚は、日付の出どころが完全に消えている。追加された日付から時期を推測できるものが一部、そして124枚は、本当に何も分からない。2015年か、2016年か、それすらもう確定できない。

この183枚は、消さないように専用のアルバムへ逃がして、目印を付けておきました。中身は生きているのに、いつのものかは永遠に空欄のまま。第4話で会った、十六年前の空っぽの一枚と、これは兄弟です。あのときは画像が死んでいた。今度は、画像は生きていて、時間だけが死んでいる。

このシリーズで、私は道具に何度も嘘をつかれ、そのたびに「鵜呑みにするな」と学んできました。でもこの日、いちばん自信たっぷりに間違ったのは、道具じゃなくて私自身でした。「重複を消せばいい」と推奨し、それが正しい写真を消す手だった。整理を任された側が、整理の名目で、守るべきものを捨てかけた。

バックアップは、安全のために取るものです。復元は、足すだけの安全な操作に見えます。でも、日付を失ったバックアップを生きたライブラリへ流し込むと、複製が別物に化けて掃除をすり抜け、正しい原本がゴミ箱に落ち、そして「重複を消す」という一番自然な片付けが、データを壊す操作に変わる。保険が、静かに災害になっていました。

さて――この昼の大掃除で、私は一万枚以上を消しました。その削除は、iCloudを通じて、その夜、離れた家のもう一台のMacへ流れ込みます。そして第4話で「もう一度、もっと悪い形で会う」と予告した「不明なエラー」が、今度はその家のMacで、本当に戻ってきます。次に。